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2025.11.04 11:00

「ディープフェイク詐欺」にAIで対抗、セキュリティ対策の最前線

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ユーザー体験を損なわないことが必須

もちろん、こうした認証システムがユーザー体験を損なわないことは必須だ。個人認証ツールの開発企業であるVouched(ヴァウチト)の説明によれば、同社のソリューションは、迅速なIDスキャン、生体認証中のPII(個人識別情報)リスク評価、自撮り画像の生命確認を実行することで、多要素認証を効率化している。

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ヴァウチトはケーススタディとして、オートバイのシェアリングサービス「Riders Share(ライダーズシェア)」を取り上げている。同社では、認証システムを手動から自動に切り替えることで、認証にかかる時間が99%短縮されただけでなく、オートバイの盗難が減少し、100万ドル(約1億5400万円)の損失が回避された。

ケーススタディでは次のように説明されている。「手動認証の撤廃により、認証1件にかかる時間が最大6時間から1分未満にまで減少したことで、ライダーズシェアは効率的に事業を拡大できた。認証手続きの合理化は、手動認証に必要な人件費の削減、および社員の事務作業の負荷軽減という形で、コストカットにもつながった」

今すぐ行動し、最適な防御を

「百聞は一見にしかず」というが、私たちはもはや、見たものを信じられない時代を生きている。ディープフェイクに対するリアルタイム防御は、技術的にも戦略的にも不可欠なものとなった。AIがもたらした数々のイノベーションと同様に、どんな組織(あるいは個人)の場合も、AIツールでディープフェイクに対抗できるかどうかは、究極的には利用者の知識にかかっている。サイバーセキュリティ侵害の実に95%にヒューマンエラーが関わっており、ディープフェイクを用いた攻撃はしばしば、ほかのセキュリティ問題にも関連する脆弱性につけこむ形で実行される。

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AIを活用した防御策にいち早く投資する組織は、大惨事を回避できるだけでなく、デジタル経済の次なるチャプターで優位に立つ上で不可欠な信頼を勝ち取るだろう。このチャプターにおいては、「AIで実現可能なこと」はもちろん重要だが、「AIで証明できること」も、同じくらい重要だ。

ディープフェイク時代はもう始まっている。混乱に陥るか、それとも状況を把握して冷静に対処するかは、私たちの選択にかかっている。

forbes.com 原文

翻訳=的場知之/ガリレオ

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