スタートアップ

2025.11.04 09:30

xAIの元研究者、新AIラボ「Humans&」のため1500億円の調達を協議

Shutterstock

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フォーブスが取材した6人の関係者によれば、xAIの元研究者エリック・ゼリクマンが、新たなスタートアップ「Humans&」(ヒューマンズアンド)のために10億ドル(約1541億円)の資金調達を進めているという。同社は評価額50億ドル(約7704億円)での交渉を行っていると、関係者は付け加えた。

他の共同創業者には、グーグル初期社員のジョルジュ・ハリクや、メタ、Anthropic、OpenAI、DeepMindで働いた研究者らが含まれるという。

Humans&はコメントを控えている。

目的は「人間の代替」ではなく「エンパワーメント」

同社がどのような製品を構築するかは不明だが、Humans&は投資家に対し、個人の嗜好や関心を記憶し反応する新たな学習手法に取り組んでおり、AIが人間を置き換えることに重点を置く他のAIラボとは異なり、人間を支援するAIを目指すと説明しているという。

ゼリクマンは10月上旬に投資家サラ・グオのポッドキャスト「No Priors」で「私は個人的に、人間に関する根本的な問題の多くは、大人数との協働に非常に長け、さまざまな人の目標、野心、価値観を理解し、各人の弱点を把握し、こうした大規模な集団とどう協調して全員をより効果的にできるかを理解するモデルを構築することで、より良く解決できると強く信じています」と語った。

より多くの計算能力と莫大な資金

ある関係者によれば、同社の新たな訓練パラダイムには、従来のAI訓練戦略よりも多くの計算資源(コンピュート)が必要になると投資家に伝えているという。

強力なシステムを構築するには莫大な資金と計算資源が必要なため、モデルの新しい訓練方法に挑むスタートアップは減少しており、代わりにGPT-5、Claude Opus 4.1、Grok 4といった最先端モデルの上でアプリケーションを構築する選択が一般的になっている。もし資金調達が成立すれば、Humans&は、製品を公開する前の段階で多額の資金を調達した少数の研究所、たとえばミラ・ムラティのThinking Machine Labsやイリヤ・サツケバーのSafe Superintelligenceと肩を並べることになる。

このラウンドへの参加を見送ったある投資家は、ラウンドの規模が「アーリーステージ企業にとっては大き過ぎる数字だ」と述べている。

xA、グーグル、Anthropic出身の共同創業者

スタンフォード大学で計算機科学の博士課程に在籍していたゼリクマンは、自身のウェブサイトによれば「自然言語で推論する言語モデルを初めて訓練した」論文の著者である。OpenAIの画期的な「o」シリーズは、この種の推論モデルの一例だ。その後、彼はxAIで、事前学習データ(モデルの初期訓練段階で用いるデータ)の収集、推論、およびエージェント基盤の構築に取り組んだ。

ジョルジュ・ハリクはグーグルの7番目の社員で、AdWordsとAdSenseの共同開発者であり、スタートアップ投資家でもある(LinkedIn)。

ゼリクマンの博士課程指導教員でスタンフォード大学の計算機科学・心理学教授であるノア・グッドマン(Noah Goodman)も共同創業者だ。グッドマンはGeminiのポストトレーニング・チームで働いた(LinkedIn)。

4人目の共同創業者であるアンディ・ペン(Andi Peng)は、Anthropicでポストトレーニングと行動強化学習に従事した(LinkedIn)。

さらに創業チームの一員であるレイ・ラマドライは、マイクロソフトの大規模データセンターのシステム設計に従事した(LinkedIn)。

IQばかりでEQのない未来

「もしすべてを自律性に投資し、協調性に何も投資しなければ、IQばかりでEQ(心の知能指数)のない未来となり、そこはより冷たい場所になります」と、ゼリクマンは自身のウェブサイトに記している。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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