小売業界は過去10年間、リサーチやマーケティングでZ世代にかなり注目してきたが、Z世代は手強い「競合相手」を迎えようとしている。
2010年代半ばにZ世代が消費者調査の見出しを飾るようになったとき、Z世代の中でも年長の人たちは成人(18~21歳)になろうとしていた。何をもって世代をくくるのかについての公式なルールはないが、社会科学者は戦争や景気後退といった大きなトレンドや出来事の前後に世代を分ける傾向がある。
Z世代は最初の「デジタルネイティブ」で、大不況を経験し、新型コロナのパンデミックを乗り越えた。これに加えて、First Insight(ファースト・インサイト)による初期調査ではZ世代は「持続可能性の世代」であり、他のすべての世代に影響を与えると予測されている。約10年経った現在、Z世代は13〜28歳で、持続可能性が主要な社会的価値となるまでの間ずっと未来を担ってきた。
2010年~2024年生まれのアルファ世代(ガラス世代)
そして今、マーケティング担当者らは「アルファ世代(Gen Alpha)」と呼ばれる、Z世代よりも若い人々に注目している。アルファ世代は端末が支配する世界で育ち(「ガラス世代」とも呼ばれている)、消費者として台頭しようとしている新しい世代だ。
オーストラリアの人口統計学者マーク・マクリンドルが約20年前にアルファ世代という呼称を広め、2010〜2024年に生まれた人と定義した。現在、アルファ世代の人口は全世界で約20億人にのぼり、世界史上最大の世代だ(世界人口の約25%、米国の人口の約13%を占める)。マーケティング担当者らはすでに、この世代が何を考え、何に関心を持つのかを読み解こうとしている。
テクノロジーに精通し、断固とした行動をとる傾向がある
まだ初期段階にあって有益な結論を出すのは難しいが、インターネット広告代理店のRazorfish(レイザーフィッシュ)によると、「アルファ世代はテクノロジーに精通しているため、製品やサービスに関してミレニアル世代やZ世代よりも速く、断固とした行動をとる傾向がある」という。
年齢以上のブランド影響力と購買力
アルファ世代は 「これまでにないほど物質的に恵まれた世代」となり、「年齢以上のブランド影響力と購買力」を持つとマクリンドルはみている。今後25年で前の世代から相続する富は推定124兆ドル(約1京9000兆円)にものぼり、これは史上最大の富の移転だ。
アルファ世代が大人になるのはまだ数年先だが、それでも社会科学者たちは、今年生まれた赤ちゃんから2039年まで続く次の世代について考えている。筆者は、彼らを「オメガ世代」と呼びたい。というのも、人工知能(AI)が生活の中心にこない最後の世代になるからだ。
米調査機関ピューリサーチなどによると、各世代の大まかな定義は以下の通りだ。
サイレント世代:1928〜1945年生まれ
ベビーブーマー世代:1946年~1964年生まれ
X世代:1965〜1980年生まれ
ミレニアル世代:1981〜1996年生まれ
Z世代:1997年~2012年生まれ
アルファ世代:2010年~2025年生まれ
「オメガ世代」:2025年~2039年生まれ



