宇宙

2025.11.02 18:00

レモン彗星を見送り「火球」を眺める 2025年最大のスーパームーンが昇るドラマチックな11月の夜空

イタリア半島を南北に縦断する山脈の最高峰コルノ・グランデの背後から昇る「ビーバームーン」の満月。イタリア・ラクイラにて2024年11月16日撮影(Lorenzo Di Cola/NurPhoto via Getty Images)

イタリア半島を南北に縦断する山脈の最高峰コルノ・グランデの背後から昇る「ビーバームーン」の満月。イタリア・ラクイラにて2024年11月16日撮影(Lorenzo Di Cola/NurPhoto via Getty Images)

11月も、星空には楽しみがいっぱいだ。「一生に一度」の彗星が最後の輝きを見せ、明るい「火球」が夜空を駆け、2019年末以来最大の「スーパームーン」が昇る。日に日に長くなる暗い夜に冬の星座が戻ってきて彩りを添え、月末になると太陽系で最も小さな惑星である水星が明け方の空に還ってくる。2025年11月の夜空の見どころを紹介しよう。

1. レモン彗星が太陽に接近

時期:11月上旬
方角:西南西の低空

レモン彗星(C/2025 A6)。スペイン・マドリード北部のブイトラゴ・デル・ロソヤで2025年10月27日に撮影(Marcos del Mazo/LightRocket via Getty Images)
レモン彗星(C/2025 A6)。スペイン・マドリード北部のブイトラゴ・デル・ロソヤで2025年10月27日に撮影(Marcos del Mazo/LightRocket via Getty Images)

7世紀以来の出現となる「一生に一度」の緑色の彗星、レモン彗星(C/2025 A6)が11月8日、太陽に最も近づく「近日点」に達する。11月上旬は日に日に見える高度が下がり、近日点通過後は明るさを失っていくが、双眼鏡を使えば夕方~宵の西南西の低空に緑がかったかすかな輝きを捉えられる可能性がある。

2. おうし座南流星群の「火球」

日時:2025年11月3日頃
方角:全天、おうし座付近から放射状に飛ぶ

「おうし座南流星群」は11月の幕開けを飾る流星群だ。11月5日頃に極大を迎え、この日を挟んで活動が活発化する期間(極大期)が長く続く。特に「火球」と呼ばれる明るい流星が多く流れることで知られている。流星数は極大時でも通常1時間あたり5個程度だが、2025年は流星の出現数、火球の数ともに増える年に当たっており、突発的な増加が起こるかもしれない。母天体はエンケ彗星(2P/Encke)である。

おうし座流星群の火球とオーロラ。米ワシントン州コルビル先住民居留地にて2015年11月3日撮影(Rocky Raybell, CC BY 2.0 , via Wikimedia Commons)
おうし座流星群の火球とオーロラ。米ワシントン州コルビル先住民居留地にて2015年11月3日撮影(Rocky Raybell, CC BY 2.0 , via Wikimedia Commons)

3. 2025年最大のスーパームーン

日時:2025年11月5日
方角:夕暮れ時の東の地平線

11月の満月は米先住民の農事暦で「ビーバームーン」と呼ばれる。ただし、今年の「ビーバームーン」は単なる満月ではない。今年地球に最も近い「スーパームーン」であり、しかも2019年末以来最大の満月なのだ。月の大きさが変化して見えるのは、地球を公転する月の軌道がわずかに楕円形をしているためだ。

2025年、地球に「最も近い満月」と「最も遠い満月」の見え方の違い(国立天文台)
2025年、地球に「最も近い満月」と「最も遠い満月」の見え方の違い(国立天文台)

太陽と入れ替わりに昇ってくる満月は夜空を支配し、星々の瞬きを消し去ってしまうが、ここ数年でもとびきりの印象的な光景を見せてくれるだろう。

4. おうし座北流星群が極大

日時:2025年11月12日頃
方角:深夜以降、おうし座付近から飛び出してくる

「おうし座北流星群」(北群)も、おうし座南流星群(南群)と同じく流星数は少ないが、明るい火球がゆっくり流れるため見つけやすく、観測し甲斐がある。南群と北群が流れる時期は合わせて「火球の季節」と呼ばれ、11月上旬が星空観察にうってつけの時期とされるゆえんとなっている。

おうし座北流星群(Shutterstock.com)
おうし座北流星群(Shutterstock.com)
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翻訳・編集=荻原藤緒

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