ロジャースは、ワッサーに自社株の10%未満を提供し、彼女をハロー・プレナップの公式アドバイザーとして迎え入れた。「ロジャースは、私の若い頃を思い起こさせる。彼女は、自分の仕事に雄弁さと独自のスタイルをもたらしている」とワッサーは語る。ワッサーは、Divorce.comを通じてハロー・プレナップの認知拡大に一役買っている。同サイトには「婚前契約」のセクションが設けられ、そこにハロー・プレナップへのリンクが掲載されている。
一方、ハロー・プレナップの手法に懐疑的な声も少なくない。「弁護士費用があまりに安すぎる。おそらく、法律も人生も経験の浅い新人弁護士を使っているのではないか」と、ボストンの著名な離婚弁護士であり、婚前契約に関する著書を3冊執筆しているローリー・イスラエルは指摘する。彼女は、同社が提供する弁護士を介さないサービスにも懸念を示している。「若者が弁護士の助言なしに婚前契約を結ぶと、内容を十分に理解しないまま進めてしまうことになる」と彼女言う。シカゴのカークランド・アンド・エリス法律事務所に所属する信託・相続専門弁護士のデイビッド・ハンドラーも、「そのような契約は、裁判所によって無効とされる可能性が高い」と警告する。
これに対しワッサーは、ハロー・プレナップが契約の合法性を担保するために必要な措置を講じていると反論し、裁判所で無効と判断されるおそれはないと主張する。その自信を裏付けるかのように、ハロー・プレナップは現在、婚後契約書をはじめとする他の家族法関連サービスへと事業領域を広げようとしている。
ロジャースは自らの離婚を通じて、ハロー・プレナップの有効性を実証してみせた。彼女は夫との間に子どもをもうけたが、2023年に離婚を経験している。しかし、共同で作成した婚前契約のおかげでその過程は想像よりも穏やかだったという。「やるべきことは、合意済みの文書を確認するだけでとてもシンプルだった」と彼女は振り返る。離婚後の共同養育もスムーズに進み、離婚後の生活に伴うストレスや混乱を最小限に抑えることができたという。そして何よりも、この合意により彼女は会社の所有権を維持することができた。


