中間報告で共有されたアーティストを取り巻く課題
7月のプログラムの開始からおよそ2カ月が経過した9月30日には、NMAの中間報告が開かれ、採択されたアーティスト及びチームからおよそ1年間にわたるプログラム期間中の目標や現時点での課題などが共有された。目標や課題は、伴走支援するメンターや、プログラムの運営を担うCANTEENを率いる遠山啓一らとの議論を通じて設定されたという。遠山は、中間報告冒頭の挨拶で、NMAのプログラムに対する手応えについてこう語っている。
「今回のプログラムで、インディペンデントに活動する採択者の皆さんと伴走したことを通じて、音楽業界全体の構造的な問題や、音楽コンテンツの輸出そのものに関わる課題をよりクリアに把握することができるようになりました。インディペンデント・アーティストを取り巻く課題を紐解くことで、音楽産業全体で外貨を稼いでいくために必要なアクションや足りていない支援が徐々に見えてきたと思います」
その後の採択者によるプレゼンテーションでは、それぞれのアーティストがプログラム期間中で実践する活動の広げ方に関するアプローチや、今後の目標設定、現状課題などが報告された。
なかでもユニークだったのが、ロンドンを拠点とするtamanaramenの取り組みだ。tamanaramenは自主企画イベントとして、ロンドンのラーメン屋とコラボレーションした「Ramen Rave」を開催し、アーティスト名にもある「Ramen」を切り口に、活動を広げようとしている。「Ramen Rave」の動画は、YouTubeにも投稿される予定で、ラーメン屋というアイコニックな場所を活かした動画によって話題づくりを仕掛けることで、欧米の有力レーベルとの契約・アルバムリリースへと繋げていく目標があるという。
他にも、コスメブランドの「ラブ・ライナー」とのコラボレーションをはじめ、ファッションやビジュアルといった側面からも越境的なコラボレーションを行い、独自のアーティスト像を広げる浜野はるきや、動画やマーチャンダイズなど自身が築き上げた世界観を元に、より立体的なアーティスト像を伝えることでファン獲得を狙うSkaaiら、非音楽領域を含めて新たなオーディエンス獲得のための導線を構築したり、収益源の獲得を目指すアーティストの姿が目立った。
Zepp New Taipeiを含むアジア圏でのホールツアーを成功させた高瀬統也は、今回のライブで通常チケットに加え、オリジナル香水やトレーディングカードなどの特典がついた、VVIPチケットを販売し、海外公演での過去最高の売上を記録したことを報告。高瀬統也のマネージャーらによるチームは、この成功から、海外市場での「再現性あるライブ集客モデル」を構築するために、今後は現場オペレーションの標準化やデータ分析の知見獲得に注力し、2026年以降の欧州展開を視野に入れているようだ。


