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2025.11.02 08:00

ポルノ規制とVPNアプリの危険性──iPhone/Androidユーザーへの新たな警告

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世界最大級のポルノサイト「Pornhub」が、英国からの訪問者が7月と比較して77%減少したと主張している。英BBCが10月31日に報じた。英国の「オンライン安全法(Online Safety Act)」に基づいた厳格な年齢チェックを実施した影響という。Pornhubは、オンライン安全法を無視しているポルノサイトが恩恵を得ているとも指摘している。

ユーザーがVPNアプリを利用し、所在地を隠し始めた

アダルトサイトの利用者であれば、状況は一変したと言ってよい。これまで好きな場所で、好きなデバイスでコンテンツを視聴できていた自由が、初めて制限されつつある。イギリスからの訪問者に関する新たなデータは、規制措置によってサイトのトラフィックが激減すると示している。

しかし、実際に起きていることは異なるようだ。どうやら事実は、何百万人もの人々が所在地を隠すためにVPNアプリを使い始めていることと、無料VPNアプリの安易な利用は危険だということの2つだ。

オンライン安全法の運用・監督・取り締まりを担う英Ofcomの推計では、英国成人の半数(男性50%、女性16%)がポルノサイトにアクセスしており、その多くがiPhoneやAndroidのスマートフォン経由になりつつある。米国の複数の州や欧州の国々でのポルノ規制──全面的な制限であれ、年齢確認の義務付けであれ──は、ユーザーの行動を変えつつある。

しかし、それで成人のポルノ閲覧が止まっているわけではない。先述したPornhubのニュースを目にしても、それは完全に無視してよい。事実ではないからだ。

Pornhubは、VPNアプリによる「所在地隠し」を容易にしている

実際には、英国の成人は所在地を隠すためにVPNへと流れている。ポルノ規制のある米国の州の住民が、別の場所にいるふりをするのと同じだ。Pornhubはこれを可能な限り容易にしている。VPNによる「覆い」を剥がそうとはしないのだ。

どういう意味か。VPNは、ウェブトラフィックを直接ではなくサーバー経由でトンネルする。これによりIPアドレスは隠蔽され、優れたVPNであれば通信も保護される。サーバーが海外にある場合、アクセス先のウェブサイトは、あなたがその場所にいると「思い込む」。ほとんどのウェブサイトは特定の地域からの訪問者を排除しようとしていない。

しかし、サーバーの所在地は唯一の手掛かりではない。ウェブサイトはブラウザーの設定や携帯回線の設定を参照したり、過去の訪問からユーザーを識別したりもできる。だからこそ、普段使っている配信事業者のスポーツのライブ中継を自宅外で視聴するのが難しくなる。配信側の地域制限が、あなたが別の場所にいることを捕捉しようとするからだ。

だが、ポルノサイトはそうしない。そうしないことを選んでいる。

Pornhubの場合は、まずドメインにアクセスして、年齢確認や地域制限に関する警告ページを閲覧する。その後、VPNの接続先を切り替えてページを再読み込みすればよい。ロンドンからニューヨークへ数秒で「移動」しても、そのページのロジックは何も検知しない。最初から実効性のない法律を嘲笑うかのようだ。

次ページ > さまざまな規制がVPNアプリを必需品に変えた

翻訳=酒匂寛

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