業界の巨人に立ち向かう小さな挑戦者
Quantum ArtのCEOであるタル・デイビッドとの最近の対話に基づけば、同社は業界の巨人に立ち向かう小さな挑戦者となり、量子コンピューターのサイズ、速度、容量の点で有力なリーダーとなる現実的な可能性を持つ。
サイズ面でいえば、2インチ×2インチは小さいと言えるだろう。GoProや小ぶりのオレンジ、あるいはノートPCの充電用ブリックほどの大きさだ。しかしQuantum Artによれば、そのスペースに100万個の物理量子ビットを信じられないほど高密度に詰め込んだQPUを収められるという(この量子ビット数と、それらを収めるコンパクトなスペースは、ニューヨーク拠点の量子計算企業SEEQC(シーク)が取り組んでいるものを想起させる)。
さらに、Quantum Artは1度に数百の操作を実行できる多量子ビット・ゲートと、処理を高速化する動的再構成性に注力している。結果として、極めてコンパクトで強力なQPUにとどまらず、同社が2027年までに達成を約束する大きな量子優位性(量子コンピューターが従来のコンピューターを大幅に上回る性能を発揮すること)を得られる可能性がある。
CEOのタル・デイビッドによれば、動的再構成性だけでも量子計算の高速化におけるゲームチェンジャーである。まず、コンパイルにおいて驚異的な50倍の速度向上をもたらすという。
「従来の量子コンピューターでは、複数のイオントラップ(ion trap、イオンを捕捉して量子ビットとして使用する装置)が別々に配置されています。そのため、異なるトラップにある量子ビット同士で演算を行う際には、量子ビットを物理的に移動させて、あるトラップから別のトラップへと運ぶ必要があります」と、彼は最近のTechFirstポッドキャストで私に語った。「しかし、この移動プロセスには非常に時間がかかります。実際の計算よりも、量子ビットの移動と、移動後に必要となる再冷却作業に、処理時間全体の98%が費やされてしまうこともあるのです」。
イオントラップとは、量子ビットを保持・操作する物理的な空間である。従来型の量子コンピューターで複数のトラップにまたがってアルゴリズムを実行するには、イオンをトラップ間で物理的にシャトルするか、遠隔でエンタングルさせる必要がある。これは遅く、エラーが起きやすく、エネルギー集約的である。


