“誰でもクリエイティブの入り口”に進化するAdobe Express
Fireflyが生成AIの統合プラットフォームの中核だとすれば、Adobe Expressは生成AIを使いこなしてクリエイティブに入る最も優しい入り口だ。特に今回発表されたAdobe Express AIアシスタントを用いれば、会話をするようにプロンプト入力することで、クリエイティブの作業を進めることができる。
どんなツールを使って成果を出すべきかを考える必要なく、アイディアを言葉にするだけでAdobe Expressは結果を出してくれる。作業レイヤーとは何か。マスクはどう使うのかなどを考える必要はまったくない。
「もう少しトロピカルな雰囲気にして」と言えば、山の風景が鬱蒼とした植物や花に置き換わり、彩度調整のスライダーやカラーピッカーが表示され、そのパラメータに合わせて調整される。
時には「新しいテーマに合わせてフォントも変更しますか?」とAdobe Express側が質問を投げかけることもある。その答えもフォント名ではなく、雰囲気を伝えるだけでいい。
世界中の1万6000人以上のクリエイターを対象としたAdobeの調査によると、81%が「生成AIを活用することで、これまで作れなかったコンテンツを制作できた」と回答している。70%以上が「今後エージェント型AIの支援によって創造性をさらに高められることを期待している」と述べている。
これはいわば“ChatGPT”のクリエイター版だ。“どんなことをしたいか”を伝えれば、その仕上がりを得るための知識はAIが持っている。そしてこの機能にはChatGPTとの連携もある。
ChatGPT側にAdobe Expressとの連結機能が用意され、ChatGPTと対話しながら基礎となるデザインコンセプトを相談し、その相談した会話の履歴をもとにAdobe Expressを呼び出すことで、アイデア出しからデザイン制作までをシームレスに行えるようになる。
エンタープライズ向けのExpress機能も重要だ。テンプレートロックや一括作成機能により、デザイン経験のない社員でも、ブランドガイドラインに準拠した高品質なコンテンツを迅速に制作できる。電通のグローバルブランド&デザイン責任者は、「会話をするようにコンテンツ制作を行えるようになる」とこの機能を評価している。
モバイルからYouTubeへ──Premiere Mobileが開く新しい扉
Adobe MAXでは、iPhone向けのまったく新しいビデオ編集アプリ「Premiere Mobile」も訴求された(Android版は開発中)。デスクトップ版のパワーとFireflyのAI機能を融合させたこのアプリは発表済みのものだが、YouTubeとの戦略的パートナーシップが新しいニュースだ。
YouTubeとの提携により、Premiere MobileとYouTubeが連携し、YouTube Shorts制作のための専用コンテンツ制作スペースが実現する。クリエイターはYouTube Shortsの制作画面から直接「Adobe Premiereで編集」アイコンをタップすることで、Premiere Mobileにアクセスできる。


