宇宙

2025.11.03 10:00

エヌビディアがAI搭載衛星を11月に打ち上げ、次世代インフラ「宇宙データセンター」の時代が始まる

スタークラウドが構想する一辺4kmの超巨大軌道上データセンター (c)Starcloud

10月3日、ジェフ・ベゾス氏はトリノで行われたイタリアン・テック・ウィーク2025での講演で、「10年から20年のうちに、宇宙空間にギガワット規模のデータセンターが建設され、最終的には地上施設より高性能になるだろう」と語り、注目を集めた。ベゾス氏の傘下には、宇宙開発企業ブルーオリジンとAmazonがある。低軌道に複数の衛星群を展開する「プロジェクト・カイパー」はAmazonの事業であり、10月末時点で153機のカイパー衛星が軌道上に配置されている。2026年には衛星ブロードバンド・サービスを開始し、2029年7月末までに3236機を展開する予定だ。

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ブルーオリジンの多目的プラットフォーム衛星「ブルーリング」 (c)Blue Origin
ブルーオリジンの多目的プラットフォーム衛星「ブルーリング」 (c)Blue Origin

また、ブルーオリジンの多目的衛星「ブルーリング」は2026年春の打ち上げが予定されている。ベゾス氏は、この宇宙機をホストプラットフォームとし、カイパー衛星をエッジコンピューティングとすることで宇宙クラウドシステムを構築し、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)の基盤にしようとしている。このシステムによってAWSを世界の企業と個人に提供し、軍事需要に応えることで、DTC(衛星とスマートフォンの直接通信)に匹敵する収益化を目指す。また、ブルーオリジンは民間宇宙ステーション「オービタルリーフ」の開発を進めている。現時点でその建設開始は2028年を目指しているが、このプロジェクトが実現すれば同ステーションは軌道上データセンターの拠点となるだろう。

スタークラウド、アクシオム、ベゾス氏のプロジェクトと前後して、5月14日には中国の公的プロジェクト「三体計算星座」による12基のAI搭載衛星が打ち上げられ、5月19日には米ソフィアスペースが軌道上データセンターの開発を目的に5億円の資金調達に成功した。9月9日にはAI衛星を開発するフィンランドのリ・オービットが4500万ユーロ(約80億円)を調達し、10月8日には米プラネット・ラボがエッジAI用の観測衛星群「Owl」を発表した。

これらの多くが2025年から27年にかけて初めてのAI搭載衛星、またはその後継機を打ち上げようとしている。これと並行してNASA、ESA、マイクロソフトなどでは、宇宙データセンターに小型原子炉を使用する研究も進めている。

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編集=安井克至

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