宇宙

2025.11.03 10:00

エヌビディアがAI搭載衛星を11月に打ち上げ、次世代インフラ「宇宙データセンター」の時代が始まる

スタークラウドが構想する一辺4kmの超巨大軌道上データセンター (c)Starcloud

AIデータセンターでは大量の冷却水も必要とされ、2027年までに世界の「新鮮な淡水」(河川水や地下水を含む)の数%(最大64億5000万トン)をAIデータセンターが消費するという試算(UC Riverside調べ)もある。ただし、軌道上にデータセンターを配置すれば、システムが発する熱はラジエーターを介して、絶対零度の宇宙空間に赤外線として放射できる。

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ランデブー・ロボティクスの自律式モジュールによるパネル組立システム (c)Rendezvous Robotic
ランデブー・ロボティクスの自律式モジュールによるパネル組立システム (c)Rendezvous Robotic

エヌビディアのGPU「H100」を搭載する衛星「スタークラウド1」は、米国のスタートアップ企業スタークラウドが運用する機体だが、同社は将来的なプランとして、5GWクラスの超大型軌道上データセンターの建設構想を掲げている。太陽発電パネルとラジエーターで構成されるその設備の規模は縦横4kmにおよぶ。この壮大なインフラを実現するためにスタークラウドは、米国のスタートアップ企業ランデブー・ロボティクスと提携。同社は自律式モジュールによるパネル組立システムの構築を目指している。

また、スタークラウドの創設者の一人は、元スペースXのスターリンクのエンジニアを務めた人物であり、今後スペースXと連携すれば、光衛星間リンク(OISL)を介して、スターリンクをエッジコンピューティングとして活用することも考えられる。エッジコンピューティングとは、データをその発生源の近くで事前処理し、低遅延を実現する分散型計算技術のことだ。

アクシオム、AI搭載衛星を購入

「アクシオム・ステーション」の完成予想イラスト (c)Axiom Space
「アクシオム・ステーション」の完成予想イラスト (c)Axiom Space

アクシオム・スペース(以下、アクシオム)では現在、5つのモジュールで構成される民間宇宙ステーション「アクシオム・ステーション」の開発を進めている。最初のモジュールは2027年の打ち上げを目指しているが、同社はこの初号モジュールを軌道上データセンターの拠点にする。

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編集=安井克至

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