ヘルスケア

2025.12.02 15:15

粉ミルク製造の手法 口腔衛生製品に応用可能も、歯周病治療への秘密兵器に?

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「私たちは常に唾液を分泌しており、平均すると1分間に約1ミリリットルの唾液が生成されています。口の中に入れたものは唾液によってすぐに洗い流されてしまいます。特に、匂いや味によって唾液の分泌が促進されるためです。その点、口腔粘膜や頬の内側、歯の表面に付着できる物質は、大きな利点をもたらします。こうした制御放出型の仕組みは、物質の毒性や安定性を管理するうえでも有効なのです」とブリヘンティ氏は語る。

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モリンの場合、研究チームにとっての課題は、これまでに開発してきた技術を最適化し、患者にとってより魅力的なものにすると同時に、産業的に拡張可能な形へ発展させることだった。

ブリヘンティ氏はまた、「私たちはまた、現在市場に出回っている製品に代わる新たな選択肢を提供することも目指しています。既存の製品の中には、味覚の変化、歯石の増加、長期使用による歯の着色といった副作用が患者から報告されており、十分に需要を満たせていないのです」とも述べている。

サレス氏は以下のように説明する。

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「当初、私たちは錠剤・フィルム・微粒子といった形でこれらのシステムを開発していました。しかし当時のものは大きすぎて口腔内での使用には不向きでした。博士課程ではこの課題を克服するために、製品の小型化を進め、結果として粉ミルクのような形状を持つフォーマットを開発しました。私はアルギン酸ナトリウムとジェランガムを含む溶液を調製し、モリンを徐放性システム(制御放出型システム)でカプセル化しました。この技術は医薬品では広く用いられていますが、歯科分野ではまだほとんど応用されていません」

歯周病は、細菌と食物残渣によって形成される粘着性の膜(バイオフィルム/細菌性プラーク)が歯の表面に蓄積することで発症する。

その中でも歯周炎(ペリオドンタイティス)は重度の歯周病であり、世界で6番目に多い慢性疾患とされている。軽度の場合は歯茎の出血などが見られるが、病状が進行すると歯の喪失につながることもある。

歯磨き、デンタルフロス、フッ素入り歯磨き粉などによる適切な口腔衛生を維持することで、このリスクは大幅に軽減できる。

世界保健機関(WHO)の2022年のデータによると、世界人口の約45%、すなわち約35億人が口腔疾患を抱えているという。

研究チームは今後、モリンのさらなる特性を明らかにするため、まず動物実験を経て、臨床試験へと進む計画を立てている。

「実験室でモリン処理を施した試験管内バイオフィルムは、遊離形態で処理した場合よりも肉眼での観察で着色が少ないことが確認されました。したがって、このシステムには歯の変色を防ぐ効果が期待できる可能性があります。また、モリンが口腔内の微生物バランスを維持できるかどうかについても検証が必要です。患者の口腔内からすべての細菌を除去することは望ましくないためです」とブリヘンティ氏は語っている。

※本稿は米国の独立系オンライン科学ニュースサイト「ScienceDaily」の記事からの翻訳転載である。

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