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2025.11.03 15:00

ビリオネアの感情をマスターする──投資家の最大の強み

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投資家の静かなる敵

『「投資で勝つ」ための心理学』(3回シリーズ)の第2回をお送りする。第1回はこちら

金融市場が、時間経過とともに、ほぼ完璧な確率で、投資家たちの忍耐と規律に報いるのであれば、なぜこれほど多くの投資家が失敗するのだろう? その答えを決めるのは、数学ではなく感情だ。恐怖や貪欲、過信、焦りは、景気後退やインフレ、金利よりも、多くのポートフォリオを破壊する。

米国の投資家ウォーレン・バフェットはしばしば、自分の成功は才能から来ているのではなく、気質から来ていると語っている。同氏はこう語っている。「投資とは、IQ160の男がIQ130の男に勝つゲームではありません。普通の知性があれば、あと必要なのは、他の人をトラブルに巻き込みたくなる衝動をコントロールする能力です。気質は知性よりも重要です」。

他の人がパニックに陥っても冷静でいられるバフェットの能力、つまり感情の安定は、数十年にわたって同氏に何十億ドルもの富をもたらした。同氏の富は、分析の賜物であると同時に、心理学の賜物でもある。

「投資で勝つ」ための心理学シリーズの第2回では、感情の規律をマスターする方法を探る。永続的な富を築く者と自滅する者を分けるのは、内なるエッジ(強み)だ。

感情が理性を凌駕する理由

行動ファイナンス(Behavioral finance:人間の心理が投資にどう影響するかに注目した理論)は、ほとんどの投資家がすでに本能的に知っていることを裏付けている。利益を得た時の高揚感より、損失を被った時の痛手感の方が大きい。心理学者はこれを損失回避(loss aversion)と呼ぶ。研究によれば、損をした時の痛みは、儲けた時の喜びのおよそ2倍強いという。

こうした傾向が、不況時には我々をパニックに陥れ、株価高騰時には陶酔させる。その結果として投資家は、高値で買って安値で売るというサイクルを繰り返す。そしてそのリターンは、打ち負かそうと思っていたインデックス投資に大きく後れをとることになる。

さらに悪いことに、群集心理と新近性バイアス(recency bias:直近に起こった事象が評価を左右するバイアス)が判断を歪める。我々は、最近の成功が永遠に続くと感じるから、群衆に追随してバブルに突入する。最近の痛みが果てしなく感じられるから、弱気相場で保有株を処分する。こうした本能は、我々の祖先が野生で生き残るのには役立ったが、現代の資本市場では悲惨な結果を招く。

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翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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