テクノロジー

2025.11.05 09:00

製造業におけるヒト型ロボット:タイムライン、コスト、そしてチャンス

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転換点に結びつくコスト

他の変革的テクノロジーと同様に、ヒト型ロボットが本格的に普及するには、経済合理性が必要だ。現状では、価格が導入の大きな障壁となっている。サミミによれば、ヒト型ロボット1体あたりのコストは約5万ドル(約770万円)であり、特定作業向けの自動化のほうが小規模な仕事では安価で信頼性も高いことが多いことを考えると、中小規模の工場にとっては手が届きにくい水準である。

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しかし、サミミは近い将来の変曲点を見ている。「価格が5000〜1万ドル(約77万円〜154万円)程度まで下がれば、この業界はオートメーション(自動化)からオートノミー(自律化)へとシフトするだろう」と彼は予測する。この水準になれば、ロボットは労働力への実用的な追加、すなわち、ニーズの変化に応じて多様な形で配備できる、適応的な労働力への投資として捉えられ始める。

タイムラインは依然として不確実で、サミミは「2030年までに何らかの大きな動きがある」としか言わなかったが、コストが下がる曲線は産業用センサーや太陽光パネルなど、他の破壊的テクノロジーがたどった道筋に沿うだろう。価格が下がり、先進工場が投資回収を実証すれば、ヒト型ロボットは転換点に到達し、その動きが全米に連鎖的に広がる可能性がある。

次世代の「混成」労働力

米国製造業の回復力は、人間の労働者の力を最大限に引き出すために新技術をどう受け入れるかにかかっている。次のオートメーションの時代は、すべての製造労働者を置き換えることではなく、人と機械の強みを組み合わせることにある。したがって将来の労働力は、人と機械の能力を合わせたハイブリッドとして扱われるだろう。短期的には、外骨格(パワードスーツ)の導入が第1歩になり得るとサミミは言う。「それは人間の工場労働者に『超人的な力』を与え、より重い物を持ち上げ、より高い精度で作業できるようになります」という。

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ヒト型ロボットが一夜にして製造業を変えることはない。依然として残るコストとリスクのため、当面の導入は段階的かつ不均一になるだろう。しかし方向性は明確だ。ヒト型ロボットや外骨格のような他の拡張技術は、重要な人手不足を埋め、生産性を高める一助となり得る。ヒト型ロボットの能力開発を試行し注視する工場は、人間の仕事と機械の仕事の境界があいまいになる世界で、より競争力を備えることになるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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