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2025.11.04 10:00

AI「データラベリング人材」のメルコア、22歳の創業者トリオが「最年少ビリオネア」に

MercorのCEOブレンダン・フーディ(Photo by Phillip Faraone/Getty Images for Breakthrough Prize)

フリーランスの仲介からピボット、AIデータラベリングで急成長

Mercorを2023年に設立したフーディ、ヒレマス、ミダの3人は当初、インドのエンジニアとフリーランスのプログラマーを求める米国の企業を結びつけることを目指していた。そして応募者がAIアバターと面接を行い、適性に応じて人材をマッチングする採用プラットフォームを構築した。その過程で、博士号取得者や弁護士など専門的スキルを持つ人材をOpenAIのような最先端ラボに結びつける「データラベリング」という急成長分野に活路を見いだした。

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3人はいずれもフォーブスの2025年版「30Under 30」リストに選出されている。9月にMercorは、クラウド分野の有力非公開企業を選出する「フォーブス・クラウド100」に初登場したが、その直後にフーディが同社の年換算売上高が5億ドル(約770億円)に達したと発表した。この到達は、3月時点の1億ドル(約154億円)からの急成長を示す。

メタのScale AI買収が転機、データラベリング業界は競争激化

今回のMercorの資金調達は、ここ数カ月でデータラベリング業界に相次いだ大きな動きの中で発表された。例えば6月には、業界最大手のScale AIの49%をメタが140億ドル(約2.2兆円)で取得し、同社の創業者でCEOのアレクサンダー・ワンを引き抜いた。この衝撃的な取引によって、より小規模な競合企業が攻勢を強める動きを見せた。彼らは「他の最先端のAIラボは、メタのAI戦略と深く結びついたベンダーとはもはや取引を望まないだろう」と主張している。

一方で、他の競合も依然として強力だ。2016年創業のこの分野の老舗企業Surge(サージ)は、現在300億ドル(約4.6兆円)の評価額での資金調達を交渉中で、創業者のエドウィン・チェンはフォーブスの米長者番付「フォーブス400」で最年少ビリオネアとなっている。Turing AI(チューリングAI)は7月、評価額22億ドル(約3388億円)のもと、1億1000万ドル(約169億円)を調達した。また、2023年の評価額が5億ドル(約770億円)だったより小規模な企業Invisible(インビジブル)は、OpenAIやマイクロソフトの有力パートナーとして存在感を高めている。

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ただし、競争の激化はトラブルも招いている。9月にはScaleが「営業秘密の盗用」を訴えてMercorを提訴した。訴状では、ScaleからMercorに移籍した元幹部が、100件を超える機密文書を持ち出したと主張されていた。フーディにこの訴訟について尋ねると「この件についてはあまり気にしていない」と述べるにとどまった。

テクノロジーに囲まれて育ってきた創業者3人

ベイエリアの出身のフーディたちは、いずれもソフトウェアエンジニアの子どもで、テクノロジーに囲まれて育ってきた。フーディの母親はメタの不動産チームで働き、父親は1990年代にグラフィックス・インターフェース企業を創業したのち、スタートアップのアドバイザーに転じた人物だ。フーディが16歳の高校生のときに始めた最初の事業の1つは、友人たちのアマゾンAWSのプロモーションクレジット獲得を仲介、手配する会社だった。彼は1人あたり500ドル(約8万円)を請求していた。

ヒレマスとミダは10歳のときに出会った幼なじみで、小学校のディベート大会で競い合った仲だ(彼らは、フーディとは高校のディベートで出会った)。ヒレマスはハーバード大学在学中、元財務長官で現OpenAI取締役のラリー・サマーズのもとで労働市場に関する研究を行い、この分野に関心を持った。サマーズはのちにMercorに出資している。

「週に6日は、夜10時半くらいまでオフィスにいる」

新たにビリオネアとなった3人は、きわめて多忙なため、派手な買い物をする時間もないという。「週に6日は、夜10時半くらいまでオフィスにいる。だから、仕事以外のことで気を取られている暇なんてほとんどないんだ」とフーディは語った。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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