米連邦準備制度理事会(FRB)が2回連続の利下げを発表した直後、ビットコイン価格は急落した。市場はジェローム・パウエル議長の予想外にタカ派的な発言に動揺した。
ビットコイン価格は一時約10万8000ドルまで下落し、その後11万1000ドル超まで反発したものの、価格は不安定な局面にある。
こうした中、ビットコインおよび暗号資産のアナリストたちは、流動性の回復が今後数カ月でビットコイン価格を押し上げる要因になると見ている。
「今回の利下げは、米国および海外で見られる金融緩和の方向性を継続するものだ」と、投資助言会社トゥー・プライムのアレックス・ブルームCEOはEメールでコメントしている。「米国政府が、緊縮財政ではなく、経済成長によって債務とインフレを解消しようとしているのは明らかだ」と彼は述べた。
FRBは予想通り、2回連続となる25ベーシスポイントの利下げを実施した。これは金融政策の緩和を示すものであり、ビットコインや暗号資産の投資家にとって歓迎すべきサインとなった。
しかしパウエル議長は利下げ発表後の記者会見で、「12月の利下げが既定路線だとは到底言えない」と警告した。この発言を受けて、年内追加利下げの予想は大幅に後退した。CMEのFedWatchツールによれば、市場はこれまで12月会合における追加利下げの確率を90%と見込んでいたが、それが現在では70%にまで低下している。
さらに重要な決定として、FRBは12月1日をもって6兆6000億ドル(約1009.8兆円。1ドル=153円換算)規模のバランスシート縮小を停止すると発表した。
以前、パウエルはロイター通信の取材に対し、「われわれはこれまで、準備金水準が十分な状態に達したと判断できる水準をやや上回る時点で、バランスシートの縮小を停止する方針を明確にしてきた」と答えた。「マネーマーケットでは、その基準に達したことを示す明確な兆候が現れている」
FRBが約2年間続けてきた量的引き締め政策の終了は、一部では量的緩和、および景気刺激策の復活を示唆する動きとして受け止められている。
「金利の低下はデジタル資産を保有する際の機会費用を減らし、ドル安はそれらの魅力を高める。また、流動性の拡大はビットコインやイーサリアムのような高ベータ資産への資金流入を促す傾向がある」と、ブループリント・ファイナンスのニコラス・ロバーツ=ハントリーCEOはEメールで述べた。「その効果がすぐに現れるわけではないが、暗号資産市場にとって、より良いマクロ経済環境に入りつつあり、この追い風が今後数カ月にわたり暗号資産の持続的な上昇を後押しする可能性がある」
キャピタル・エコノミクスの北米チーフエコノミストであるポール・アシュワースはロイター通信に対し、「FRBにとっての次のステップは、月あたり約200億ドル(約3.1兆円)のペースでバランスシートを拡大し、金融システムのマネタリーベースをGDPの成長に合わせることになるだろう」と語った。



