ウクライナ軍による無人機(ドローン)攻撃を受け、ロシア西部リャザニの石油精製施設は24日、原油蒸留の停止に追い込まれた。同製油所はロシア第4の規模を誇り、主に首都モスクワに石油製品を供給している。
ベルゴロト、ソチ、ボルゴグラート、オレンブルク、サマラ、ダゲスタン、ロストフなど、ロシア各地にある他の石油精製施設もウクライナ軍の無人機の標的となっている。こうした無人機攻撃により、ロシアの石油精製能力は現在20%低下していると推定されている。
ウクライナはロシアの燃料生産と輸出を妨害しようとしており、10月に入って12回も同国の製油所を攻撃している。一方、欧州連合(EU)、英国、米国はロシアのエネルギー産業を対象とした新たな制裁措置を発表した。こうした動きはロシアに対し、ウクライナへの全面的な軍事侵攻を終わらせるよう圧力をかける新たな試みと見なすことができる。
ロシアのエネルギー産業に対する西側諸国の制裁
ウクライナ侵攻を巡り、国際社会は戦争を開始したロシアを罰する方法を模索してきた。その範囲は、欧州評議会議員会議や国連人権理事会といった国際機関からのロシアの締め出しから、同国の資産の凍結や国際的な資金決済網「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からの大手銀行の排除に至るまで多岐にわたる。多くの外資系企業がロシアでの事業活動を停止し、世界各国がロシア産原油に価格上限を設定した。
しかしこれらの制裁は、ロシアによるウクライナ侵攻を終結させるには至っていない。むしろロシアは大規模な侵攻を継続している。
国際社会は現在、ロシアへの圧力をかける新たな手法に向けた取り組みを強化している。例えば、EU、英国、米国は、ロシアのエネルギー産業に対する新たな制裁を発動した。これらの国々は、ロシアが天然資源の輸出から得た収入をウクライナ侵攻に向けた武器や装備の購入に充てているとしている。さらに、ロシアの天然資源輸出による収入は国内経済の安定を維持してきた。EU、英国、米国は、ロシアのエネルギー産業に新たな制裁を科すことで、ウクライナ侵攻の終結を期待している。
ロシアが2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始して以降、EUは同国に対し19件の制裁を科してきた。制裁対象は、ロシアのエネルギー、金融、防衛企業だ。さらにEUは、ロシア産原油の売買を行う第三者仲介業者として活動する非ロシア企業に対しても制裁を科している。EUによる最新の制裁は、ロシアが制裁を逃れて原油を輸出するのを助ける「影の船団」の船舶も標的としている。23日に発表されたロシアのエネルギー産業に対するEUの新たな制裁は、ロスネフチやガスプロムネフチなどのロシアの石油企業に加え、中国やアラブ首長国連邦(UAE)の第三者企業を対象としている。
英国も同様にロシアのエネルギー産業に圧力をかけるため、同国の2大石油企業ロスネフチとルクオイルに新たな制裁を発動するとともに、同国の影の船団も対象とした。英国は既に1月の時点で、ロシアの石油企業ガスプロムネフチとスルグトネフチェガスに制裁を科していた。
EUと英国がロシアのエネルギー産業を標的にウクライナ戦争終結を迫る動きとは別に、米国も独自の対ロシア制裁を発動している。米国は22日、ロスネフチとルクオイルに対する制裁を発表し、両社の子会社も対象とした。ジョー・バイデン前大統領とドナルド・トランプ大統領の下、米国はロシアのエネルギー企業と第三者の仲介業者に対する制裁を継続している。



