ウクライナ軍によるロシアの製油所への無人機攻撃
だが、ロシアのエネルギー産業に対する制裁の影響は遅々として現れていない。これにより、ウクライナはロシアのエネルギー産業に圧力をかけるため、自ら行動を起こすことを選択した。ウクライナはロシアの製油所を標的とした攻撃を展開することで、これを実行に移した。
2025年を通じて、ウクライナはロシアの主要エネルギー施設への攻撃を継続している。英経済誌エコノミストと英BBCの推定によれば、ウクライナ軍はロシアの製油所のほぼ半数を損傷させた。ウクライナがロシアのエネルギー施設を攻撃する目的は、ロシア国内で燃料不足を引き起こし、ウクライナ侵攻に使用される車両や機械を動かす資源を減少させることにある。ウクライナによるロシアのエネルギー施設への攻撃は、ロシア国内で燃料価格の高騰と配給制を招いている。
ウクライナ軍はこれらの攻撃に無人機を使用している。「ファイアポイントFP1」や「リュティーAN196」といった無人機は数百キロを飛行可能で、ロシア領内深部に位置する製油所をも標的とすることができる。これらの無人機は電子戦妨害対策用の高度なソフトウエアも搭載しており、ウクライナ軍は精密な攻撃を実行することができる。ファイアポイントのような無人機の価格はわずか5万5000ドル(約850万円)だ。これは、ウクライナがロシアのエネルギー施設への攻撃を低コストで継続できることを意味する。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、自軍による無人機攻撃を歓迎している。同大統領は9月、「ロシアに対する最も効果的な制裁は、同国の製油所、ターミナル、石油貯蔵施設で火災を引き起こすことだ」と演説した。現在、EU、英国、米国がロシアのエネルギー産業に対する制裁を強化する中、ウクライナの無人機攻撃はロシアの石油産業により深刻な打撃を与える可能性がある。他の措置と組み合わせれば、ロシアにウクライナでの戦争終結を迫る圧力となるだろう。
先述のシュミット博士は次のように解説した。「これらの石油制裁と同時に、ウクライナ軍がロシア領内の石油貯蔵・精製施設に対する無人機攻撃を継続することで、プーチン政権への圧力を強めることができる。たとえウクライナがこれらの施設を完全に停止できなくても、ロシアのエネルギー輸出網における重要施設への攻撃がもたらす累積的な影響は、米国がようやくロスネフチやルクオイルなどに対して導入した経済制裁措置を補完する上で大いに役立つだろう」
さらに、エコノミストによれば、ウクライナ軍が巡航ミサイル「フラミンゴFP5」の使用を開始したとの報告がある。この長距離ミサイルはファイアポイントやリュティーなどの無人機より高速で、射程も2倍あるため、ウクライナ軍はロシアの石油精製施設により大きな損害を与えられる。これにより、ロシアのエネルギー産業への圧力はさらに強まるだろう。


