北米

2025.11.01 13:00

トランプ長男の資産が1年間で10倍に急増、父の再選後11社の経営側ポスト就任

トランプ米大統領の長男トランプ・ジュニア(Photo by Marcus Ingram/Getty Images)

ドローン企業Unusual Machines、上場後に業績が急伸し国内生産を売り込む

ニューヨーク証券取引所に上場するUnusual Machinesは、まず2019年にプエルトリコでRed Cat Motor Corporationとして設立され、翌年にAerocarveUS Corporationへ社名を変更。2022年に現在の社名に改めた。2024年2月には500万ドル(約7億6000万円)の新規株式公開(IPO)を実施し、同時にドローン操縦用ビデオゴーグルメーカーのFat Sharkと、ドローンのマーケットプレイスRotor Riotを買収した。

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2024年10月に200万ドル(約3億1000万円)の第三者割当増資を完了。年次報告書によるとUnusual Machinesの2024年の売上高は560万ドル(約8億6000万円)だったが、2025年上半期には420万ドル(約6億4000万円)を記録。その後の3カ月で業績は急伸し、発表済みの取引総額は1520万ドル(約23億円)を超えた。最近のプレスリリースで同社が強調した受注はすべて、米国の防衛関連企業か米陸軍第101空挺師団からのものだった。

6月にトランプ大統領は「米国のドローンの支配力を確立する」と題した大統領令に署名した。

米陸軍が発注を認める、国内サプライチェーンが決め手の大型契約

エヴァンスCEOによれば、トランプ・ジュニアはUnusual Machinesの潜在顧客との交渉には一切関わっていないという。米陸軍第101空挺師団の広報担当者は発注の事実を認めたが、トランプ・ジュニアの役割についてはUnusual Machinesに尋ねるよう求めた。

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Strategic Logixの最高執行責任者(COO)アンドリュー・ヴァルケンバーグは、自社が発注した1280万ドル(約19億6000万円)の契約は、Unusual Machinesの「米国に基盤を置くサプライチェーン」が決め手だったと説明している。両社の接触は2024年12月、トランプ・ジュニアが就任した翌月に始まったが、ヴァルケンバーグによれば、彼の関与を知ったのは契約締結後のことで、しかも第三者を通じてだったという。

ドローン部品を80万ドル(約1億2000万円)分購入し、トランプ・ジュニアの関与以前からUnusual Machinesと取引関係にあったRed Catの広報担当者は、コメント要請に応じていない。Unusual Machinesはまた、米国内の防衛ドローンメーカーに対してカメラとゴーグルを計160万ドル(約2億4000万円)で販売したが、企業側の要請により社名は非公表としている。

トランプ・ジュニアが、アドバイザリーボード就任時に付与された20万株の評価額は28日の市場の終値で280万ドル(約4億3000万円)に達している。米証券取引委員会(SEC)への届け出によれば、彼は2024年10月の第三者割当増資でも6万6000株と同数のワラントを購入していた。

またトランプ・ジュニアは2021年、バイデン前大統領の息子のハンター・バイデンを揶揄したツイッター(現X)の投稿で、「ハンターの“名ばかり役員ポスト”が、見返りなしに与えられたはずがない!」と述べていた。

Unusual Machinesは、米陸軍の発注額を公表していない。第101空挺師団の広報担当者は、国防兵站局に尋ねるように求めたが、同局からの回答も得られていない。

Unusual Machinesが、今後さらに政府案件を獲得するかどうかは、11月中旬に予定される四半期決算で明らかになる可能性がある。同社によれば、陸軍は2026年にも追加発注を行う意向を示しているという。トランプ・ジュニアのアドバイザリーボードの契約は、来月に満了予定だが、更新可能とみられる。

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翻訳=上田裕資

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