米連邦準備制度理事会(FRB)は現地時間10月29日、2カ月連続で利下げを決定した。しかし、ジェローム・パウエル議長が年内の追加利下げに対して否定的な発言をしたため、株式市場はこれに反応して下落した。
28日と29日にかけて開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では、前回9月の会合に引き続き、FF(フェデラルファンド)金利の誘導目標をさらに0.25ポイント引き下げ、3.75%から4%の範囲とすることを10対2の賛成多数で決定した。
反対票を投じたのは、カンザスシティ連銀総裁のジェフリー・シュミッドとFRB理事のスティーブン・ミランの2人だけだった。ミランは9月の会合でも反対票を投じており、今回も0.5ポイントのより大幅な引き下げを主張した。一方、シュミッドは利下げ自体に反対の立場を取った。
声明の中でFOMCは、労働市場に関する評価を維持し、「雇用の伸びは鈍化し、失業率もわずかに上昇したものの、8月時点ではいまだ低水準にとどまっている」と述べた。
また、FRBは継続中の連邦政府の閉鎖に言及し、「確認可能な指標」によると、米国経済は緩やかなペースで拡大を続けており、インフレ率は「年初から上昇してやや高止まりしている」とした。
パウエル議長は声明の中で、12月に予定されている次回の会合に向けて「政策運営の方向性について委員間で強い意見の相違がある」と述べた。さらに、追加の利下げは「既定路線ではない」と強調し、「まったくもって違う」と言い切った。パウエルは、一部の経済データの発表が延期となっている一方で、入手可能な公的および民間のデータから判断すると、雇用とインフレの状況は「前回の会合以降ほとんど変化していない」と指摘した。
パウエルの発言を受け、ダウ平均株価は0.2%下落、S&P500種株価指数は0.3%下落し、当日早朝の上昇分を打ち消した。この日の上昇はおもにエヌビディアの記録的な株価上昇によって支えられていたが、その勢いにも陰りが見られた。一方、ハイテク株中心のナスダック総合指数は0.1%上昇して小幅高を維持した。ダウ構成銘柄の中では、ボーイングが4.3%下落して下げを主導し、続いてナイキが3.1%、ユナイテッドヘルス・グループが3%、ホーム・デポが2%下落した。



