暗号資産

2025.10.30 11:00

ビットコイン価格の分水嶺、市場に鳴るは「死の鐘」か「強気シグナル」か

Nikolas Kokovlis/NurPhoto via Getty Images

Nikolas Kokovlis/NurPhoto via Getty Images

ビットコインおよび暗号資産の価格は、ここ数週間で激しく変動した。

ビットコイン価格は、過去最高値である12万6000ドル(約1900万円。1ドル=152円換算)から急落した「フラッシュクラッシュ(瞬間的な暴落)」の後、現在は安定を取り戻している。

一方、強気の暗号資産トレーダーの間では、「今後ビットコイン価格が10万ドル(約1500万円)を下回ることは二度とない」との見方が広がっている。

スタンダードチャータード銀行で暗号資産リサーチ部門を率いるジェフリー・ケンドリックはEメールで次のように述べている。

「ビットコインの新たな史上最高値が達成されれば、それは絶対的な強気シグナルとなり、ビットコイン価格が今ピークに達していると考える、半減期サイクル理論に固執する者たちにとっては死の鐘となるだろう」。

さらに、「今週が順調に推移すれば、ビットコインは再び10万ドルを下回ることはないかもしれない」と付け加えた。

ケンドリックは、ビットコインおよび暗号資産ETFへの資金流入、そして米中貿易合意とFRBによる利下げの可能性が高まっていることが、今月初めに10万ドル近くまで下落していたビットコイン価格を押し上げる要因になっていると指摘した。

「私は半減期サイクルはすでに終わったと考えている(ETF資金の流れの方が重要だ)。ただし、全員を納得させるにはさらなる確認が必要だ」とケンドリックは記している。

ビットコインの半減期サイクルとは、ネットワークを維持し、取引を処理するマイナーへの新規発行ビットコイン報酬が、およそ4年ごとに半分に減少する仕組みである(次の半減期は2028年予定とされる)。過去15年間、この半減期はビットコイン価格の急騰と暴落の周期と一致してきたが、最近では多くのアナリストが「機関投資家によるビットコインおよび暗号資産の導入拡大こそが価格により大きな影響を与えている」との見方を強めている。

暗号資産取引所のビットフィネックスに所属するアナリストは、市場コメントの中でこう記している。

「これは拒絶ではなく、循環のサイクルであり、構造的統合が進んでいることを示している。もしこの流れが続くなら、暗号資産は世界的な資本調整のバロメーターとなり、市場がマクロ経済ショックにリアルタイムでどう対応しているかを示す指標となるだろう」。

また、暗号資産市場は、FRBが今後数カ月のうちに他の主要中央銀行と同様にハト派的な方向へ転換する兆候がないか注視している。

ビットフィネックスのアナリストはこう述べている。

「今後を見据えると、政策の乖離が短期的な市場心理を左右するだろう。FRBは、原油価格の影響によるインフレと、製造業およびサービス業における経済データの悪化という二重の課題に直面している。一方、欧州中央銀行とイングランド銀行はハト派的な姿勢を強めており、日本銀行は利回り曲線と通貨防衛策をめぐって厳しい監視下に置かれている。このような環境下で、暗号資産市場の相対的な落ち着きは、市場構造、流動性、そして機関投資家との相性という各面が成熟してきたことを示している可能性がある」。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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