健康

2025.10.30 10:45

CBN規制はなぜ今か―妥当性と実務設計の論点

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業界団体はこれらの事件を受けて420㎎という製品含有上限量を設定しましたが、上記記事に指摘した、販売停止措置や安全性試験の実施は行わなかったものと見られます。このように社会的注目→急拡大→事故・混乱→規制という教科書的な軌跡をCBNはたどりました。

指定そのものは妥当、ただし「遅くて急」の設計は再考を

まず、CBNを指定薬物に指定する方針自体には賛成です。保健衛生の観点から妥当だと考えます。一方で、実務設計には二つのねじれが生じています。

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1.規制としては遅い:CBNは少なくとも過去5年以上、国内で流通が続いてきた天然成分です。
2.施行が急すぎる:省令の決定・施行過程で、議員連盟や業界団体との十分な事前協議や周知が必ずしも徹底されたとは言いがたく、実務上の準備期間が短い印象があります。

結果として、消費者・流通・事業者に過大な混乱とコストが集中しかねません。規制の妥当性を維持しつつ、実務の設計を丁寧に見直すべきだと考えます。

先例から学ぶ:THCV規制から見える「天然成分」の扱い

精神作用を有する合成カンナビノイドの規制の際に包括規制でTHCVという天然成分が規制対象となった際、厚労省は当時の実情(フルスペクトラム製品の流通、特定の疾病を抱える人々による自主的使用など)を踏まえ、研究としての限定的・特例的な使用ルートを整備しました。

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一般化すれば、天然成分の規制は慎重に、患者利益への配慮とともに進める姿勢がうかがえます。今回のCBNでも、事業者への早期周知や業界団体との事前協議が十分だったか、意思決定プロセスの透明性はどうかが論点になります。

議員連盟や業界団体が存在する現状を踏まえれば、よりよい合意形成の余地はあったはずです。これまで、CBD議連や行政と業界が協力して制度設計を前進させてきた蓄積があり、今後も規制や運用の変更に際しては、是非の検討や意見交換を事前に行う枠組みを整えていただきたいと考えます。

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