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2025.10.30 18:00

未公開スタートアップへの投資を個人に開放、イスラエル発OurCrowdが目指す次の10年

OurCrowd創業者兼会長のジョン・メドベッド(写真左)とCEO兼最高執行責任者(COO)となったカリ・チル(同右)(C)OurCrowd

次の10年を見据え、投資家コミュニティの力でさらなる成長へ

メドベッドがOurCrowdの次の段階で重視したいのも、やはり「人」だ。「今後10年間でOurCrowdを10倍に成長させるにはどうすればよいのか」とメドベッドは語る。そのための方策として彼は、パートナーシップの拡大、質の高いディールやファンドへのアクセス強化、新たなプロダクトやサービスの創出などを挙げたうえで、「特に重要なのは、コミュニティの力を最大限に引き出すことだ」と強調する。

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メドベッドは、コミュニティのメンバーが投資先スタートアップの「持続力」を高めるために、より積極的に関与すべきだと考えている。スタートアップは好況と不況の波をくぐり抜け、上場せずに長期活動を続けるケースが増えており、長期的に伴走できる投資家の存在が欠かせないという。OurCrowd自身も、同じスタートアップに複数回出資を重ねる形で、その姿勢を示してきた。

メドベッドは、個人投資家にも同様のアプローチを促し、投資先企業の価値を高める形で「付加価値を提供してほしい」と呼びかける。「それこそが投資の好循環を生み出す。ポートフォリオ企業に最も大きな付加価値を提供できる投資家こそ、最良のディールを得られるのだ」と彼は語った。

未公開市場へのアクセス、信頼と実績あるプラットフォーム

「非公開市場に参加していない投資家は、最もエキサイティングな投資領域の1つを逃している。ただし、現状はまだOurCrowdのように実績があり、信頼性が高く、使いやすく、確立されたプラットフォームがほとんど存在しない」とメドベッドは述べている。

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メドベッドの実績をよく知る投資家・アナリスト・市場関係者は、彼とOurCrowdのチームが今後もベンチャーキャピタルの在り方を革新し、非公開市場やオルタナティブ投資への「スムーズなアクセス」を提供していくと考えている。

イスラエルのスタートアップ・エコシステムを描いた2009年のベストセラー『START-UP NATION』および『The Genius of Israel』の共著者のダン・セノールとシャウル・シンゲルは、メドベッドをこう評している。

「ジョン・メドベッドは、スタートアップ立国としてのイスラエルを最も初期から象徴し、その理念を具体化した人物の1人だ。私たちがこの本の取材をしていた頃、彼はすでに伝説的な人物であり、起業家で投資家でもあった。彼はまた語り部として、『なぜイスラエルがイノベーション大国へと変貌しつつあるのか』を世界に伝えていた。メドベッドは企業を築き、創業者を導き、イスラエルの起業家に世界で戦うための自信を与えた。彼のビジョンとエネルギー、そして楽観主義は、彼をこの分野に欠かせない存在にしている。彼はまた、イスラエル経済の奇跡を支える創造的でたくましい精神の象徴でもある」。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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