米国がレアアースの調達でオーストラリアと組むのは自然だ。世界有数のレアアース鉱床であるマウント・ウェルド鉱山を擁するオーストラリアは、世界4位のレアアース生産国である。同鉱山で採掘するライナス社は今年5月、防衛システム用磁石に不可欠な重希土類である酸化ジスプロシウムの商業生産を開始した。酸化ジスプロシウムの商業規模の生産を実現したのは中国企業以外では初めてであり、画期的な出来事だ。
さらに、米国輸出入銀行は豪アラフラ・レアアースズによるオーストラリアでの「ノーランズ・プロジェクト」向けに3億米ドル(約460億円)の融資を審査しており、このプロジェクトにはオーストラリア政府も1億米ドル(約152億円)の支援を約束している。両国は今後10年間で85億米ドル(約1兆3000億円)規模の重要鉱物・レアアース関連プロジェクトに共同で出資する方針だ。
80年代の日米半導体競争の教訓
西側諸国はレアアース開発で中国に追いつけないのではないかと懐疑的な見方をする人もいるかもしれない。精錬・加工設備の整備や環境認可に時間がかかりすぎると。だが、過去にも似たような光景が見られたことを読者には思い出していただきたい。
1980年代初頭、米国の半導体産業は日本との激しい競争に直面していた。政府の支援を受けた日本メーカーは急速にシェアを拡大した。不公正な貿易慣行やダンピング(不当廉売)と見なされた状況に対抗するため、1987年、当時のロナルド・レーガン米大統領は日本製半導体に対する100%の関税賦課に踏み切った。
その際、レーガンは「米国の半導体産業の健全さと活力は米国の将来の競争力にとって不可欠なものです」と訴えた。ただ、関税措置が必要になったのは遺憾だとも述べ、「ダンピングが止まったという確実で継続的な証拠が得られれば、すみやかに」関税を撤廃すると確約していた。
この政策と1986年の日米半導体協定によって米国の半導体産業は安定を取り戻し、国内での生産は保護された。1990年代にはシリコンバレーが再び世界のリーダーとして復活した。


