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2025.10.30 12:00

AI生成による「ウィキペディア対抗馬」、マスクが『Grokipedia』を公開

Grokpediaスクリーンショット

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米国時間10月27日夜イーロン・マスクは、「Grokipedia」(グロキペディア)を公開した。これはAIが生成した記事のみで構成されるオンライン百科事典で、マスクとその支持者が「偏向的でウォーク(woke)」だと批判してきたウィキペディアに対抗する狙いだ。

マスクはXへの投稿で、Grokipediaの「バージョン0.1」が稼働中だと発表し、「バージョン1.0は10倍良くなるが、0.1の時点でもウィキペディアより優れている」と主張した。

公開時点で、Grokipediaは88万5000本以上の記事を掲載している。一方のウィキペディアは700万本だ。クラウドソース型のオンライン百科事典であるウィキペディアが人間の著者と編集者を用いるのに対し、マスクのGrokipediaはxAIのGrokによって生成され、「ファクトチェック」された記事のみで構成されている。

Grokipediaはユーザーによる編集を一切認めていない。ただしマスクは、ユーザーがGrokに記事の追加・修正・削除を依頼でき、Grokが実行するか、実行しない理由を説明すると述べている

別のX投稿でマスクは、GrokおよびGrokipediaの目標は「真実、真実のすべて、そして真実のみ」であるとし、「われわれは決して完璧にはなれないが、それでもなおその目標に向けて努力する」と付け加えた。

Grokipediaにウィキペディア由来の記事は含まれるか? Grokipedia上の複数記事の末尾には、「本コンテンツはウィキペディアからの改変であり、Creative Commons Attribution-ShareAlike 4.0ライセンス(著作物の共有と改変を許可しつつ、著作者の表示と改変作品の同一ライセンス適用を条件とするライセンス)の下で提供される」との但し書きが表示されている。ウィキペディアのサイトにはすでにGrokipediaの項目があり、「多くの記事がウィキペディアの記事に由来し、一部はほぼ逐語的に複写されていると観察されている」と記されている。掲載時点では、Grokipedia上のPlayStation 5、自動車メーカーのランボルギーニ、半導体メーカーのAMDに関する記事は、対応するウィキペディアの項目とほぼ同一に見えた。マスクは、Grokipediaがウィキペディアの記事を利用していることを把握しているとし、「年内までにこの点を修正できるはずだ」と述べた。

ウィキメディア財団は何と言っているか? ウィキペディアを運営する非営利団体ウィキメディア財団は、複数メディアに共有した声明で次のように述べた。「ウィキペディアの知は──そしてこれからも常に──人間のものである……。この人間が作り上げた知こそが、AI企業がコンテンツを生成する際に拠って立つものであり、Grokipediaでさえウィキペディアの存在を必要としている」。声明はさらに、「ウィキペディアの代替版を作ろうとする試みはこれまでも数多く行われてきたが、それがわれわれの活動や使命を妨げることはない」と付け加えている。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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