米国政府は、半導体大手AMDと10億ドル(約1520億円。1ドル=152円換算)規模のパートナーシップを結び、AMD製の人工知能(AI)チップを用いたスーパーコンピューターを開発する計画だ。AMDが10月27日に発表したこの取り組みは、今年相次いでいる10億ドルを上回るAIプロジェクトの最新事例だ。ウォール街は、今後も世界的なAI投資が加速すると見込んでいる。
ここでは2025年の年初からのAI分野の10億ドル以上の取引を時系列順に振り返る。
10月27日
米エネルギー省はAMDとの提携で、AIを搭載した2基のスーパーコンピューターを開発すると発表した。総投資額が10億ドル(約1520億円)に上るこの取り組みは、AMDによれば「科学、エネルギー、安全保障の分野」で画期的な成果をもたらすという。「Lux(ラックス)」と呼ばれる最初のコンピューターは今後6カ月以内に稼働予定で、2号機の「Discovery(ディスカバリー)」は2029年までに完成予定。10月23日
グーグルは、AI開発企業アンソロピックに最大100万個のAIチップを供給する契約を発表した。両社によると、契約額は数百億ドル(数兆円)規模に達する可能性がある。10月16日
オラクルは、メタとの間で200億ドル(約3兆円)規模のクラウドコンピューティング契約を結んだと発表した。オラクルはメタに対し、AIモデルの学習と運用に必要なクラウド基盤を提供する。10月14日
オラクルのクラウド部門は、2026年からAMDの最新AIチップを数万個規模で導入する計画を明らかにした。両社は2027年以降もこの提携を拡大する計画だが、オラクルとAMDは金額を非公表としている。10月13日
OpenAIは半導体大手ブロードコムと提携したと発表した。OpenAIは自社設計のAIチップを開発・運用する計画で、両社は計10ギガワット分の機械学習処理を高速化するカスタムAIアクセラレーターを共同で構築・展開する。金額は非公開。10月6日
OpenAIとAMDは、新たな提携を結んだ。OpenAIは、AMDの株式10%を取得する可能性があると報じられた(AMDの時価総額は約1880億ドル[約28.6兆円]に上昇)。同社は、今後数年をかけて最大6ギガワット分のAMD製GPUを導入する計画だと発表した。
9月25日
クラウドインフラ企業CoreWeave(コアウィーブ)は、OpenAIと新たに65億ドル(約9880億円)規模の契約を結んだと発表した。同社は3月、今後5年間にわたりOpenAIにAIデータセンターとクラウド技術を提供すると発表しており、両社の提携総額は約224億ドル(約3.4兆円)に膨らんだことになる。9月22日
OpenAIとエヌビディアは新たな提携を発表した。エヌビディアはOpenAIに1000億ドル(約15.2兆円)を出資する。OpenAIは少なくとも10ギガワット分のエヌビディア製システムをAIモデルの学習用インフラとして活用する。9月15日
CoreWeaveの規制当局への届け出によって、エヌビディアが2032年までに約63億ドル(約9576億円)相当のクラウドサービスを購入する契約を結んだことが明らかになった。この契約には「利用しなかった余剰クラウド容量もエヌビディアが買い取る」条項が含まれている。9月10日
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、OpenAIは今後5年間で総額3000億ドル(約45.6兆円)分の計算能力をオラクルから購入する契約を締結した。関係筋によると、オラクルは約4.5ギガワット分の電力供給能力を提供する。
8月22日
トランプ大統領は、インテルが米国政府に約100億ドル(約1.5兆円)相当の自社株10%を譲渡することで合意したと発表した。米政府はこの取引で同社の第3位の株主となった。大統領は、これに先立ちインテルのリップ・ブー・タンCEOの辞任を求めていた。8月10日
エヌビディアとAMDは、中国へのチップの輸出許可と引き換えに、同国での売上の15%を米政府に支払うことで合意した。フィナンシャル・タイムズ(FT)によれば、この動きは、トランプ大統領が半導体とチップ輸入に100%の関税を課すと発表した直後のことだった。
7月14日
グーグルは、今後2年間で250億ドル(約3.8兆円)をデータセンターおよびAIインフラに投資する計画を発表。AI主導経済において、エネルギー供給能力、イノベーション、機会の拡大に役立つとした。
6月30日
オラクルは、米証券取引委員会(SEC)への提出書類において複数の「大型クラウド契約」を開示した。その中には、後にOpenAIとの契約であることが判明した300億ドル(約4.6兆円)規模のものが含まれていた。
5月23日
オラクルは、テキサス州アビリーンに建設中のOpenAIのデータセンター向けに、400億ドル(約6.1兆円)相当のエヌビディア製AIチップを購入すると発表した。FTによれば、この施設は「スターゲート」プロジェクトの最初の拠点とみられている。
1月21日
トランプ大統領は、OpenAI、ソフトバンク、オラクルが共同で新会社「スターゲート」を設立すると発表した。大統領は、この取り組みを「史上最大のAIインフラ事業」と呼び、これら企業が今後数年間で最大5000億ドル(約76兆円)を投じて米国内のAIインフラを整備し、10万人の雇用を創出するとした。



