北米

2025.10.31 09:00

米カリフォルニア州知事ニューサムの「ビジネス帝国」──トランプ大統領との共通点は

ギャビン・ニューサム カリフォルニア州知事(Photo by JP Yim/Getty Images for Clinton Global Initiative)

ギャビン・ニューサム カリフォルニア州知事(Photo by JP Yim/Getty Images for Clinton Global Initiative)

ビリオネアの支援を受けるカリフォルニア州知事は、全米最大の州で権力基盤を固めつつあるなかでも、ホスピタリティ企業を築き上げてきた。

ギャビン・ニューサム知事の政治家としての顔と、実業家としての顔

複数の富豪とつながりを持つ強気な政治家、ギャビン・ニューサム知事は、自らのホスピタリティ帝国を所有している。知事の座にありながらも事業を手放さず、その運営には家族が関わっている。利益相反をめぐる懸念はたびたび浮上しているが、いずれも決定的な問題には発展していない。

ニューサムはSNS上でトランプ大統領と似た投稿をすることがあり、しかも両者の共通点はそれだけではない。次期大統領候補と噂されるニューサムは、政治家になる前から、そして政治活動を続けながらもビジネスマンとして活動してきた。彼が自ら築いた会社「PlumpJack Group(プラムジャック・グループ)」の共同設立者には、家族ぐるみの友人で、石油王の後継者でもあるビリオネアのゴードン・ゲティが名を連ねている。現在、PlumpJackはナパ・バレーのワイン産業とサンフランシスコの社交界で強い影響力を持つ企業となっている。

ニューサムは、現在のような地位につくべく育てられた。彼の父ウィリアム・ニューサムは、前カリフォルニア州知事ジェリー・ブラウンの大学時代からの友人で、ブラウンから2つの判事職に任命されていた。また、ウィリアムは石油王ジャン・ポール・ゲティを祖とするゲティ家の信託財産を管理する役職にも就いていた。

一方のギャビン・ニューサムは、失読症に苦しみ学業にも苦戦したが、サンタクララ大学に進学し、1989年に政治学の学位を取得した。ただし、卒業後に落とした科目を取り直さなければならなかったという。その数年後、彼はまずビジネスの世界に踏み出した。

ニューサムが共同創業したPlumpJackは、1992年にサンフランシスコのワインショップとして始まった。彼は、家族ぐるみの友人であるビリオネアのゴードン・ゲティ、1999年にワイナリーのゼネラルマネジャーとして参加したジョン・コノヴァー、妹のヒラリー、いとこのジェレミー・シェラーとともに、同社を複数のワイナリー、レストラン、バー、小売店、ホテルを展開する事業群へと拡大させた。

ワイナリー事業は、推計約616億円超の価値

同社のいくつかの部門はすでに閉鎖されているが、大きな成功を収めたものも多い。フォーブスの推計によると、ワイナリー部門だけでも企業価値は4億ドル(約616億円。1ドル=154円換算)を超えており、ニューサムが保有する少数持ち分も数千万ドル(数億円)規模に達する可能性がある。

ニューサムの各事業における正確な持ち分比率は、カリフォルニア州の財務開示書の記載が曖昧なため明らかではない。彼は、サンフランシスコの駐車・交通委員会の委員を務めた後、市の監督委員会に加わり、2004年に市長へ就任する際、サンフランシスコを拠点とする事業の持ち分をわずか170万ドル(約2億6000万円)でゲティに売却したとされる。その後、2011年に市長職を離れ、副知事に就任する前に、ゲティからの融資を受けてその持ち分を買い戻した。

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翻訳=上田裕資

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