地銀の“越境”——山陰合同銀行の営業力
藤吉:山陰合同銀行がポートフォリオに入っているのも面白いですね。日本で最も高齢化が進んでいる地域の一つである山陰地方の銀行が入っているのはなぜですか。
川部:ここが面白いのは、その卓越した営業力です。高齢化が進む地域にある地域金融機関に先がないということは、彼ら自身が何十年も前から分かっていて、山陰地域外での貸出を圧倒的に伸ばしてきた実績があるんです。
藤吉:最近、地方銀行の「越境融資」が盛んになっていますが、山陰合同銀行はその先駆け的な存在なんですね。
川部:そうですね。ここは「広域地方銀行」というあえて矛盾した組み合わせでの表現を使っていますが、山陰地域を守るために外部でしっかり稼いでくるという発想ですね。
藤吉:そういう話ってネットで検索しただけじゃ出てこないですよね。
川部:仰るとおりです。現地まで足を運んで、頭取にヒアリングして、その思いを直接聞いて、初めて「そういうことだったのか」とわかる。我々が現地に何を見にいっているかというと、突き詰めると阿部の言う「収益性の源泉」だと思うんです。こればっかりは財務情報とか表に出ている数字だけ見ていてもなかなか見えてこないんです。
業種ではなく“ストーリー”で分散する
藤吉:こうしてお話をうかがっていると、スパークスさんがエンゲージメントしている企業というのは、それぞれに異なる「源泉」を持っているのがよくわかります。
川部:そこはまさに我々が心がけているところで、業種よりもビジネスの特性を高度に分散することで、15銘柄でも分散効果が図れていると考えています。先ほども言いましたが、自動車、化学、ガラス・土石と業種を分散させてリスクを避けたつもりでも、実は全部EV関連なので、同じ値動きをすることもありうるわけです。ですから我々は各銘柄で全く異なる“エクイティストーリー(企業価値向上の筋道)”を組み入れることで、結果として少数銘柄でもしっかりと分散できるようにしています。
阿部:15社でも1社1社深くリサーチしていれば、100社持っているのと変わらないんだよね。むしろ下手に業種だけ分散して集めた100社よりも、ストーリーを分散させた15社の方がリスクは低いと思います。


