「株主軽視」が招く日本企業のリスク

「3つの質問」——割安・理由・カタリスト

阿部:僕はいつも「会社を探すときは、3つの質問に答えなさい」と言ってるんです。まずは(1)「割安か」ということ。本来100の価値があるのに10しか評価されていない会社はどこか。次に(2)「なぜ10しか評価されてないのか」を理解しなさい、と。最後に(3)「では何が起こったら、正しく100の価値に値段が修正されるのか」。いわゆるカタリスト(株価が動く“きっかけ”となる出来事・要因)は何か、ということですね。

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藤吉:ディスカッションでの新規銘柄の採用は「狭き門」ですか?

川部:採用率は決して高くないと思います。

阿部:新規銘柄を採用するということは、今まで保持していた銘柄のどれかを手放すということですよね。そうしないと際限なく保有銘柄が増えてしまう。だから新規銘柄は従来の保有銘柄よりも、明らかに良いものでなければならない。そのハードルは当然高くなります。そのうえでどういう会社が残っているかというと、その会社にしかない「収益の源泉」を持っている企業ということになっていくと私は思います。

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欠けていた“株主”というステークホルダー

阿部:日本の経営者にとって、一番大事なのは常に顧客だったんですよね。次に従業員や金を貸してくれる銀行まではステークホルダーと見做しているんだけれど、「株主や投資家もステークホルダーである」という認識は薄かった。だから「会社は誰のものか」なんていう議論を学者の方々はずっとやってたわけです。

けれど顧客、従業員、銀行、株主のうち誰か一人でもそっぽを向いたら、本来会社は成り立たないはずなんです。ところが日本では、株主の言うことを無視しても会社が回っていた。資本主義としては健全な姿とは言えない状態が長く続いていたんです。スチュワードシップコードに加えて、大切な論点です。

 

川部正隆(かわべ まさたか)スパークス・アセット・マネジメント株式会社 運用調査本部 チーフアナリスト

早稲田大学商学部卒業。野村アセットマネジメントに入社し、主にポートフォリオ・マネージャーとして中小型株アクティブファンドの運用業務に従事。2021年、スパークス・アセット・マネジメント入社。日本株式の調査・運用業務に従事。主に投資先企業と対話を行うエンゲージメント戦略を担当。
日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)

text by Hidenori Ito/ photograph by Kei Onaka

連載

市場の波に乗る12の視点 スパークス代表・阿部修平×Forbes JAPAN 編集長・藤吉雅春

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