独自の理論からトヨタ、ユニクロ、セブンイレブンの「強み」を分析。時代に先駆けてその成長曲線を読み解いた投資家・阿部修平(スパークス・アセット・マネジメント代表)が投資に必要な「対話の力」を解説する。
藤吉雅春(Forbes JAPAN 編集長):日本では当たり前と思われていることが、海外では「おかしい」と攻撃されることがあります。それが企業の株主との向き合い方です。
それが日本の優良企業が外国企業に買収されるリスクにも直結しています。そこで今回のテーマは、「スチュワードシップ」です。
2014年に金融庁が「日本版スチュワードシップコード」を策定して、「投資家には顧客(受託者)の利益を守るために投資先企業にアプローチする責任がある」としました。
川部正隆(スパークス・アセット・マネジメント 運用調査本部 チーフアナリスト):日本版スチュワードシップコードの冒頭には、〈企業への深い理解に基づいた目的をもった対話によって、企業価値向上を促すことで、投資リターンの最大化を図る〉と書いてあります。
これは実は「マクロはミクロの集積である」というスパークスの投資哲学にも通じるところがあって、我々は常に自分の足で企業の現場を訪れて「現地現物」で見聞きしたものからその企業の実態価値を見定めています。それだけ深くその企業を理解しているからこそ、企業価値を高める有効な対話ができるという意味で、まさに金融庁が言う「スチュワードシップ」を実践してきたという自負があります。
スチュワードシップファンドの先駆け
藤吉:金融庁が「スチュワードシップ」の方針を打ち出されたのと同じ2014年に、御社が 「対話(エンゲージメント)」をテーマにした「スパークス・日本株式スチュワードシップファンド(愛称:対話の力)」を創設されました。当時、こういう企業との対話を通じて企業価値を向上させていくというアプローチは、他の投資会社でもあったんですか?
川部:他社がまったくやってないとまでは言わないですが、スパークスがその部分をもっとも大切にしてきた点は、他社との一番の違いじゃないかなと思います。
阿部(スパークス・アセット・マネジメント代表):今もその名残りはあるけれど、僕が36年前に創業した当時は、投資顧問・運用業というのは、銀行とか証券会社とか保険会社といった親会社の〝付帯事業〟だったんですよね。だからどうしても親会社の影響を受ける。
藤吉:そうなると独立性は保てないですね。
阿部:今もまったく一緒とは申しませんが、そういう歴史的経緯もあって、「スチュワードシップ」ということが言われるようになった部分はあると思います。



