米国で最も安全な都市
ハワイ州ホノルルが米国の都市の間での首位を維持した。同市はBHTPの同ランキングに3年連続で選出された唯一の米国の都市となる。今年は13位から5位に躍進した。ホノルルはのんびりとした雰囲気が評価されたほか、医療、犯罪、交通など多くの項目で高得点を得た。報告書は、緊急対応がこれまで以上に重視される中、ホノルルは火山から熱帯暴風雨に至るあらゆる事態への対応で最高評価を得ているとした。
米カリフォルニア州サンフランシスコは15位だった。安全性の認識は情報源によって異なるが、BHTPは「サンフランシスコでホームレス問題が存在することは、決して美化できない事実だ。この不幸な現実により、旅行者にとって軽犯罪が深刻な問題になっている」として、旅行者に注意を呼びかけた。
欧米以外の安全な都市
オーストラリア最大の都市シドニーは今年も上位を維持したが、昨年の5位から6位に順位を下げた。報告書では、シドニーの注意点として、山火事、洪水、激しい嵐などの自然災害が挙げられている。
東京は9位にランクインし、世界中の旅行者から絶大な支持を集める都市としての地位を維持した。東京はあらゆる面で高評価を得ており、特に暴力犯罪発生率が低い点が評価された。BHTPはまた、東京は世界で最も安全な地下鉄と鉄道を有する都市だと評している。
12位に選ばれた韓国の首都ソウルも世界有数の安全な都市だ。急速な技術革新とポップカルチャーの支配力に加え、旅行者はソウルの健康対策や女性、性的少数者、有色人種への配慮を称賛している。ただし、北朝鮮に関する発言には注意が必要だ。報告書は、北朝鮮やその指導者を称賛すると拘束される可能性があると注意喚起している。
アジアの都市として、シンガポールも14位に入った。 シンガポールは良くも悪くも世界で最も構造化され、統制された都市体験を提供する。BHTPは「破壊行為や性的不適切行為、薬物犯罪、入国管理法違反などの犯罪に対するむち打ち刑がシンガポールでは合法だ」と指摘した。
注目すべき動向
ランキングを超えて、BHTPの報告書は旅行者が安全を認識しながら体験する新たな傾向を複数特定している。
医療の受けやすさと緊急時対応能力は旅行者の懸念事項として依然上位にある。BHTPによれば、気象関連であれ健康関連であれ、迅速かつ効果的な緊急対応を実証できる目的地は調査で高い評価を得た。例えば、ホノルルは火山から熱帯暴風雨まであらゆる気象災害に対応する緊急システムが評価された。
年齢も安全性の認識に影響する。BHTPは、年齢層によって都市の見方が異なり、それがランキングに反映されると指摘。「回答者の年齢層によって、世界で最も安全な都市に対する認識に顕著な差が見られた」という。
ミレニアル世代(25~44歳)は冒険心旺盛で、国際的な嗜好に合致する都市を高く評価する傾向が強い。Z世代(10代~20代)の旅行者は、香港、アムステルダム、ダブリンといった、国際的な雰囲気と包摂性を兼ね備えた目的地を好む傾向にある。65歳以上の熟年の旅行者は慎重な傾向が強く、社会基盤が整備され、医療水準が高く、軽犯罪が少ない場所を好む。Z世代と熟年の旅行者に共通していることは「両者とも香港を安全な旅行先だと考えている」ことだった。
結局のところ、この報告書は安全という概念がいかに多様で微妙なものになり得るかを示している。信頼できる医療や公共交通機関から包摂性や緊急対応システムに至るまで、人々の現状に寄り添い、保護され歓迎されていると感じさせ、どんな未来にも備えられる都市こそ、世界で最も安全だと言えるだろう。


