ヘルスケア

2025.11.17 10:15

人の行動を縛る「社会的通念」の正体。ノミの実験が示した罠

Getty Images

Getty Images

強い意志を持っていても、望む行動がとれない――。それは意志の弱さが原因ではない。組織心理学者ベンジャミン・ハーディが科学的根拠とともに環境設計の力を解き明かした全米ベストセラーの邦訳版『全力化』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けする。


価値観や人生観すら無効に

どの環境にも、ルールがある。そうしたルールが、その環境にいる人の行動を規定する。

というのも、ルールに従った場合も破った場合も、それに応じた結果が伴うからだ。

たとえば、ある環境では喫煙が許されているが、他の環境では許されていない。

ロックコンサートで叫び声をあげるのは構わないが、機内ではできない。

ある人の家では靴を履いたままでいいが、別の人の家では靴を脱がなければいけない。

車は左側通行が正しい場所もあれば、右側通行が正しい場所もある。

どのスポーツにもルールがあるし、変更も頻繁に行われる。

それぞれの環境におけるルールには、明文化されているものとされていないもの、口に出して説明されているものとされていないものもある。

とはいえ、明文化されたものか暗黙の了解かによらず、そこにはルールがあり、そのルールがそこにいる人たちの行動や態度を形作っていることに変わりはない。

たとえば「ピア・グループ」と呼ばれる、社会的立場や年齢が同じような人たちが集まるグループがある。

それぞれのグループには「基準」があり、それがそのグループに属するメンバーの考え、行動、振る舞いを形作っている。

通常は詳細な説明がなくても、そのグループのルールを見極められる。そのグループにいる人たちが発する言葉、取る行動、お互いがどう関わるかを観察すればいい。

特定のグループが、あなた自身と合うか相反するかは、ほぼすぐにわかるはずだ。

次ページ > あなたの行動を強力にコントロールする「社会的通念」

文=ベンジャミン・ハーディ/組織心理学者 訳=松丸さとみ/翻訳者・ライター

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事