状況に求められれば、人は「倍」の力を出す
間違いなく、人は誰もが自分の環境によって形作られている。
とはいえ、誰もがまた、自分の環境を作り出してコントロールする大きな力を備えていることも忘れてはならない。その環境は結局のところ、自分を形作ることになる。
デュラントの「偉大なものを作るのは環境である」という理論に対し、あるインタビュアーは次のように反論した。
「スコットランドの歴史家、カーライルが信じていたように、人類史を作ったのは主に、特定の個人、天才、偉人、ヒーローだったのではないですか?」
これに対するデュラントの答えはこれだ。
「ヒーローとは、ヒーローという存在だから生まれた結果ではなく、“状況が生み出したもの”だ。差し迫った必要性があれば、人は並外れた能力を発揮する。(略)ヒーローの役割は、自分が持てる潜在能力をすべて発揮しなくてはならないような“状況に立ち向かうこと”だ。(略)状況に求められれば、平均的な人でも倍の能力を発揮できると私は思う」「住んでいる州」が経済状況を規定する
デュラントという歴史家が裏づけに乏しい憶測をしていたわけでないことは明らかだ。
「歴史を形作ってきたのは、その時々の状況である」というデュラントの洞察は、最近になって科学的に確認された。
ハーバード大学のエコノミストであるラジ・チェティ博士とナサニエル・ヘンドレン博士が行った「機会均等プロジェクト」という研究を見てみよう。
このプロジェクトは、アメリカで人はどれだけ自分の経済状況を改善できるのか、という可能性を地図に落としたものだ。
結果は、絶望的で衝撃的なほどに明白だ。人が社会経済的なステータスをどれだけ改善できるかは、住んでいる州、さらには住んでいる郡に大きく依存する。
努力次第で経済状況を改善できるという郡も一部にはあるが、それ以外の郡ではその可能性は小さく、ゼロに近い。
積極的に“場所”を変えていかない限り、自分が生まれた環境が、残りの人生に多大な影響を直接的に及ぼすのだ。
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