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2025.11.12 10:15

会議についていけない人を救い出す「AIサポート」4選

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発言の流れが速く、メモに追われて質問のタイミングを逃してしまう。職場の会議やミーティングにおいて、発達障害の特性を持つ人が直面する課題の一つだ。聞き取りながら同時に思考を組み立てることが難しいと、会議は大きなストレスとなる。

ただ、テクノロジーの進化は、こうした困りごとへの新たな解決策を生み出している。

障害者の社会復帰を支援し、YouTubeチャンネル「発達障害しごとラボ」を運営する柏本知成さんの著書『ポストが怖くて開けられない! 発達障害の人のための「先延ばし」解決ブック』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けする。
※登場する人物の名前はすべて仮名です。個人情報保護のため、一部の属性や状況についても変更しています。


ミーティングについていけないとき、どうする?

4月に正式入社してから、3か月目の月曜日。

藤本ダイキさん(20代男性)は、(就職後も安定して働きつづけられるための)定着支援面談のため、就労移行支援事業所を訪れました。

黒のトートバッグを肩にかけたまま、椅子に腰を下ろすと、ほっと息をつき、話しはじめました。

「先週の開発部の定例ミーティングですが、発言の流れが速くて……。メモに追われ、質問もすべてタイミングを逃してしまいました」

ダイキさんの視線は、落ち着かない様子です。

彼は発達特性のため「聞き取りながら同時に思考を組み立てる」ことが難しい一方、コードレビュー(プログラムのソースコードをチェックして品質を向上させる仕事)の厳密さや、設計書作成の丁寧さで高い評価を得ています。

それだけに、今回の戸惑いは大きいようです。

そこでタブレットを取り出し、ダイキさんにある提案をしました。

画面には、カラフルな波形とともに「リアルタイム文字起こしON」のアイコンが表示されています。

「こちらは会議を“見える化”するAIアプリです。発言を即座に字幕化し、専門用語は自動補完してくれます。終了後に“概要生成”を押すと、議事録の雛形が作成される仕組みです。次回のミーティングでお試しになりませんか?」

AIは、彼のようにマルチタスクが苦手な方の、強い味方となってくれます。

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文=柏本知成/発達障害しごとラボ所長

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