ヘルスケア

2025.11.08 10:15

マルチタスクが苦手だった彼女が活躍できるようになれた理由

Getty Images

カードを握りしめたカナエさんは、新しいペアで再挑戦。

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「要約しなくてもいい」と決めた途端、相手の声色、表情の変化、言葉の選び方が驚くほどクリアに入ってきます。

この3分間のカナエさんは、相手の好きな音楽の話を丸ごと受け止め、視線もうなずきも、とても自然でした。

たったひとつの行動に専念することで、カナエさんの強み「深い観察力」が際立った瞬間でした。

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「シングルタスク宣言」からの変化

翌週のグループワーク。

「私は、一度にひとつのやり取りを極めます。そのかわり、そのひとつを丁寧に掘り下げます」

カナエさんは、落ち着いた声で「シングルタスク宣言」をしました。

最初は周囲から「時間がかかるのでは?」と懸念する声もありました。

しかし、カナエさんの丁寧な傾聴が議論を整理し、メンバー全員の理解を深めていくうちに雰囲気が変わります。

ホワイトボードの議題を一列に並び替え、「まずはこれだけ、話し切りましょう」と指示。結果、話題が散らかることなく、1日の終わりには予定していた3議題すべてを、余裕をもって終えられました。

その後、カナエさんは通信販売会社での企業実習に参加し、「お客様対応マニュアルの改善」を任されました。

これまでのマニュアルは、クレーム事例が混在し、参照しづらい状態でした。

彼女はマニュアルを付箋で色分けし、「今日は“配送遅延”のみ」と決めて分析を開始しました。お客様から寄せられた全遅延ケースを洗い出し、言い回しを統一して、テンプレートを一画面に収まる分量へと圧縮。

こうして完成した「配送遅延テンプレート」は、読みやすさと迅速な対応フローが評価され、現場で即日採用となりました。

次ページ > 「マルチタスクが苦手」を裏返すと?

文=柏本知成/発達障害しごとラボ所長

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