サイエンス

2025.11.01 16:00

最古の青色顔料は旧石器時代の化粧品か ドイツで発見、エジプシャンブルーの数千年前

ドイツのミュールハイム・ディーテスハイムで発掘された砂岩石器の表面に確認された青色の残留物の拡大画像(Wisher et al., 2025. Published by Cambridge University Press on behalf of Antiquity Publications Ltd)

アズライトの青色顔料は化粧品か

ここで新たな疑問が生ずる。旧石器時代にこの地域に居住していた人々が青色顔料を有していたなら、なぜ青色を使った洞窟壁画が発見されていないのだろうか。また、なぜこの時代の他の遺物から青色顔料の痕跡が検出されていないのか?

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研究チームでは、まだ発見されていないだけで、他の遺物にも青色顔料の残留物が存在する可能性があるとみている。今回の発見の元となった凹面石器も、40年以上前に出土したものだが、青色顔料が確認されたのはごく最近だからだ。芸術に用いられなかった理由については、身体装飾など考古学的記録に残らない別の目的で使用されていたのではないかと考えている。

「アズライトの存在は、旧石器時代の人々が鉱物顔料に関する深い知識を持ち、従来考えられていたよりもはるかに幅広い色彩を駆使していた可能性を示している。しかも彼らは特定の色を意図的に選んで使用していたと考えられる」と、研究主任のイジー・ウィッシャーはデンマーク・オーフス大学のプレスリリースで語っている。

青色顔料の残留した石器が出土したドイツのミュールハイム・ディーテスハイム周辺の地図。右上の青い丸はライン川・マイン川流域のアズライト産出地を示している(Wisher et al., 2025. Published by Cambridge University Press on behalf of Antiquity Publications Ltd)
青色顔料の残留した石器が出土したドイツのミュールハイム・ディーテスハイム周辺の地図。右上の青い丸はライン川・マイン川流域のアズライト産出地を示している(Wisher et al., 2025. Published by Cambridge University Press on behalf of Antiquity Publications Ltd)

歴史を紐解くとアズライトは、トルコの新石器時代の女性の埋葬地から出土したり、ギリシャの青銅器時代の人物像の髪飾りや目の部分に使われていたりしており、化粧の用途で用いられていたことが示唆されている。今回の発見があった旧石器時代はこれらより古い時代だが、同様の役割を果たしていた可能性はある。もし旧石器時代の人々が体や顔を飾るために青色顔料を使用していたとしても、今となっては何の痕跡も残ってはいないだろう──今回見つかったような石器の残留物を除いては。

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つまり、旧石器時代の芸術家たちも青色顔料を入手できていたのだ。ただ洞窟壁画には用いなかったというだけで、代わりに化粧に使っていたかもしれないのである。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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