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2025.10.29 09:45

ヤマップが太鼓判! 歩くことに没入できる「カモシカのような不思議な杖」

Issoku-CHOを手に由布岳を登る森達雄

春山が見出したIssoku-CHOの可能性

森(左)とヤマップの春山(右)
森(左)とヤマップの春山(右)

そんな中、この商品に目を付けたのが、福岡市にあるヤマップの春山だった。YAMAPは全国各地の登山情報を網羅し、累計530万ダウンロードを突破した登山・アウトドアプラットフォームを提供する。ヤマップの出資元である大分銀行が春山に、「おもしろい商品がある」と紹介したのがIssoku-CHOだった。『地球とつながるよろこび。』を企業理念に掲げ、“歩く”というカテゴリーを重視。春山は特にストックは重要な道具と位置付け、トレッキングポールの自社開発やコラボレーションを考えていたという。

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「現在市場に出ている直線のストックは、どれも軽さや丈夫さだけを競っており、差別化要素が見当たらない。YAMAPで新たに作る意義を感じませんでした。しかしIssoku-CHOの形状を見たときに、これは一緒に作りたいと思ったのです」。(春山)

20年近くトレッキングポールを使っている春山は、個人的な感想として、Issoku-CHOの使用感をこう語る。

「二足歩行ではなく四足歩行の感覚となり、四輪駆動のように力強く歩けます。トレッキングでは平地よりもアップダウンが激しくなりますが、下りでは膝痛が軽減されますし、登りは力強く踏み出せます。カモシカや鹿の足は、曲がっていることで足腰への負担を減らし、不安定な地形でも体重移動しやすいと言われています。まさにIssoku-CHOも同じ効果があると思われます。それ以上に、私が感じた他のストックとの最大の違いは、歩くことに集中でき、感覚が鋭くなることで得られる没入感です。マインドフルネスな状態になると言ってもいいかもしれません」。

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春山は、製品開発に関して「一度使ったら、今まで当たり前に使っていたモノに戻れなくなるものが非常に強い」と定義する。その意味では、Issoku-CHOを使うと、直線のトレッキングポールに戻れない。「これからのストックのスタンダードになる可能性を秘めている」と感じたという。

春山と森は、Issoku-CHOの形状をした山歩き専用トレッキングポールの開発に取り掛かる。春山は委託工場を探し、カーボン素材で製造することに決める。カーボンを湾曲させ、かつ耐荷重・耐久性基準をクリアすることに困難を極めるが、2026年の年明けの上市に向けて最終段階に入っているという。

懸念されることは、国内で特許を取得しても、海外で模倣品や類似品が出回ることが増えていることだ。森はPCT国際出願を行い、国際特許取得を多くの国内企業に打診したものの、応じるところはなかった。日本以外では、世界中のどの企業も製造することが可能なのが現状だ。しかし森は、「本当にいいものを作って、多くの人に喜んでもらえたらそれで十分です。いいものを作ってもらったら輸入します。日本で広めることができるのは私しかいませんから」と笑う。常にポジティブマインドで圧倒的な行動力を持つ森。多くの支援者に支えられ、いずれ日本発のIssoku-CHOが、世界のステッキのスタンダードになることも現実味を帯びてきた。

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文=真下智子

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