エリック・トランプ、不動産トークン化構想を進行か
そしてトランプ家には、より安全で、しかも儲かる可能性のある道が残されている。それは、自分たちの不動産資産を、ミーム株トレーダー、ワシントンのロビイスト、「米国大統領と取引したがっている外国の指導者たち」にどう結びつけるかを考えることだ。もしそうした投資家たちが、利益を生まない「トランプ」ブランド資産に数十億ドル(数千億円規模)もの価値を与えているのだとすれば、実際に収益を生む不動産に巨額の評価を与えることは想像に難くない。
これは単なる理論上の話ではない。エリック・トランプは先週、YouTubeで公開されたコインデスクのインタビューで、「すでに1棟のビルをトークン化し、小口化したデジタル資産として提供する計画を進めている」と語った。彼はこの構想を、「大手銀行への反論」として位置づけている。銀行の厳格な与信審査や形式的な不動産評価は、誇示的な気質を持つ開発業者にとって厄介な存在になりがちだというのが彼の主張だ。
「もし私がトランプ・タワーの資金調達をしたいと思ったら、なぜドイツ銀行に行かなきゃいけないんだ?」とエリックは、トランプ家との長年にわたる物議を醸す関係で知られる銀行の名を、わざわざ挙げて語った。「なぜトランプを支持する何百万人もの人々に直接呼びかけてはいけない? なぜビルをトークン化できない? なぜ資金調達をトークン化できない? なぜ私たちのゴルフコースをトークン化できないんだ?」。
トークン化の有力候補、アブダビの未発表案件
では、トランプ家が最初にトークン化を試みるのはどの資産なのか。今のところ一家は明言を避けているが、新たに建設中のドバイのタワーが有力だと考えられる。同地でトランプ・インターナショナル・ホテル&タワーを手がけているパートナーのジアド・エル・シャールは、かねてから不動産のトークン化に強い関心を寄せており、2023年にはその理想的な拠点としてドバイを名指しで挙げた論考まで発表していた。
もう1つの候補は、まだ発表されていないアブダビのプロジェクトだ。今年初めにワールド・リバティのトークンを1億ドル(約152億円)分購入した謎の組織、Aqua1 Foundationは最近、トークン化を専門とするアブダビ法人を立ち上げたばかりだ。
支持者へ投資呼びかけ、約15万円でビルオーナーに
エリックは、先のコインデスクのインタビューで、興奮を抑えきれない様子でこう語っていた。「このプロジェクトの一員になりたい人はいないか? 1000ドル(約15万円)で、このビルの100万分の1を持てるとしたらどうだろう。成功をみんなで共有しよう。投資すれば、宿泊者向けにホテルでの無料ディナーなどの特典もつけられる。実際、そうやってビルを“自分の持ち物の一部”にしたい人はたくさんいるんだ」。
実際そのように考える人は特に、UAEには数多くいるはずだ。


