『アーケイン』が世界を席巻、世界第4位のアニメ制作国フランスの現在地は?

世界を席巻したフランス製アニメ『アーケイン』(c)2024 Riot Games, inc. RIOT GAMES, ARCANE LEAGUE OF LEGENDS

世界を席巻したフランス製アニメ『アーケイン』(c)2024 Riot Games, inc. RIOT GAMES, ARCANE LEAGUE OF LEGENDS

「日本のアニメーションは映像をつくりだす力こそが強み」

advertisement

フランスのアニメスタジオ「フォティシュ」の共同創業者であり、クリエイティブディレクターも務めるパスカル・シャルー氏はこう語る。
 

「フォティシュ」共同創業者のパスカル・シャルー・クリエイティブディレクター兼共同ディレクター(右)とエルヴェ・デュポン副最高経営責任者
「フォティシュ」共同創業者のパスカル・シャルー・クリエイティブディレクター兼共同ディレクター(右)とエルヴェ・デュポン副最高経営責任者


フランスは日本に次ぐ、世界第2位のアニメ市場。地球を守るロボットの戦いを描いた『UFOロボ グレンダイザー』(原作/永井豪とダイナミックプロ)が、1978年にフランス国内で『ゴルドラック』というタイトルで放映されて以来、日本のアニメが広く定着している。
 
フランスでは40代以下の人たちは幼少期から日本のアニメやマンガで育った世代。フランスのアニメ業界をリードする経営者やクリエイターたちに話を聞くと、今敏や細田守、宮崎駿など熱中した作品や監督の名前が次々と口をついて出てくる。

世界を席巻したフランス製アニメ

パスカル・シャルー氏も、これらの日本を代表するレジェンドたちの作品に触発された1人だ。
 
彼がクリエイティブディレクターを務めるフォティシュは、フランスの代表的なアニメスタジオである。2Dと3Dを融合した独自の技法に強みを持つ。同社の名を、一躍、世界に知らしめた作品が『アーケイン』だ。米国のゲーム会社「ライアットゲームス」が開発した多くのファンを持つビデオゲームの『リーグ・オブ・レジェンズ』をベースに、両社で共同制作した。
 
『アーケイン』は支配層の住む豊かな大都市と腐敗したスラム街の地下都市を舞台に、運命の交錯する2人の姉妹の姿を描いた作品。ネットフリックスで2021年に『シーズン1』、2024年に『シーズン2』がそれぞれ配信され、多くのユーザーが作品の描く世界への没入感に浸った。前者は3週連続、後者は5週連続でネットフリックスの世界の高視聴番組トップ10にランクインした。
 
専門家からの評価も高く、『シーズン1』はストリーミングサービスの作品として初めて「テレビのアカデミー賞」とも言われるエミー賞(プライムタイム)の最優秀アニメーション番組賞を受賞。『シーズン2』も合わせると、その他も含め獲得した賞は計37を数える。
 
「日本の漫画家の谷沢直氏の大ファン」と語るシャルー氏は「『アーケイン』が日本のアニメやマンガの影響を受けたのは確か」と話す。
 
2016年から8年に及んだ『アーケイン』の制作期間中、一時期には最大で450人が同作品に関わったという。それに伴いフォティシュは従来のパリに加え、2020年にはフランス南部のモンペリエ、スペインのカナリア諸島ラス・パルマスにもスタジオを開設した。

advertisement

フランスの新聞「ル・フィガロ」によれば、『アーケイン』は「世界最高額のアニメシリーズ」で、制作費だけでも6000万ユーロから8000万ユーロと推定している。
 
この成功を前に、フォルティシュの副最高経営責任者であるエルヴェ・デュポン氏は「ファンや業界の反応はとても好意的だった」と語り、シャルー氏も「資金調達や予算は制作規模、質へのこだわり、ファンに応えたいとの気持ちに伴って増加。確かに高コストの作品だが、そうしたスタジオの野心に見合う水準に達した」と振り返る。

次ページ > 「世界景気の影響で脆弱化」したが

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事