「世界景気の影響で脆弱化」したが
フランスではアニメーション、CG、グラフィックデザインなどを学ぶことのできる教育機関が各地に設立され、クリエイターなどの育成に力を入れている。では、同国アニメの現在地はいったいどのようなものなのか。
フランスの映画・映像事業の中心的な支援機関の役割を担う国立映画センター(CNC)が、この6月、フランス南東部のアヌシーで開催された国際アニメーション映画祭に合わせて発表した同国のアニメ産業に関する調査結果によると、CNCの助成を受けた2024年のテレビアニメの制作金額は前年比23.7パーセント増の2億9400万ユーロに達した。
総制作時間も同13.7パーセント増の316時間となり、コロナ禍の本格拡大後の2021年以来、3年ぶりに300時間を超えた。
しかし、CNCはフランスのアニメ産業に関して、「世界景気の影響で脆弱化」したとも結論付けている。CNCの税制優遇措置の対象となったフランスで制作される海外のアニメ作品への支出は24年に1億6600万ユーロにとどまり、前年比14.3パーセント減になった模様だ。
フランスのアニメ番組の海外販売額も2023年には前年比11.2パーセント減の5120万ユーロと4年連続で減少。2015年以来の水準に落ち込んだ。いずれも、ネットフリックスやアマゾンなどのプラットフォーム企業の投資合理化に伴う影響が大きい。
雇用環境にも暗雲が垂れ込める。アニメ産業全体の従事者数は2023年に前年比0.8パーセントの減少。非営利団体の「オーディアン」の発表によれば、2024年には従事者数が同10.5パーセント減となったという。
最強の日本アニメとのコラボに活路
9月に開催された東京ゲームショウの会期に合わせて、フランスから文化・クリエイティブ関連企業の訪問団が来日。このなかには前出のフォルティシュとともに、フランス国内外で成功を収めた長編アニメ映画『ヤカリ』などの制作を手掛けた「エリプス・アニメーション」も名を連ねていた。
フランスのアニメ産業について、同社のファビアン・クーロン最高業務責任者(COO)は「プロジェクトの資金調達や制作などが以前に比べて難しくなっている」と指摘。フォルティシュのシャルー氏も「プラットフォーム企業の戦略見直しに伴って、スタジオが困難な状況に直面している」との認識を示す。
実際、フランスでは「サイバー・グループ・スタジオ」が破綻。「ティムト」もイタリアの企業に買収されるなど、大手のスタジオがこのところ相次いで経営難に陥っている。
一方、日本のアニメの勢いは止まらない。前出のCNCの調査では、2024~2025年のテレビアニメのシリーズ制作で日本の作品数は311本。第2位の米国の124作品を大きく引き離す。第3位がカナダで40作品。フランスは38作品で第4位にとどまっている。
現在、フランスのテレビアニメ作品は約4分の1が海外のパートナーの資金によって支えられているのが実情だ。「日本とフランスのアニメスタジオが共同制作すれば、コスト面で競争力があり、興味深いものになりそう」と来日したエリプスのクーロン氏は語る。世界第4位のアニメ大国フランスの「日出ずる国」への期待は膨らむ。


