ノスタルジアで復活するブランド
バービー、ポラロイド、FILA(フィラ)──これらはすべて、広く名前を知られたものでありながら、長年にわたって影を潜めていたブランドだ。そして、いずれもここ数年の間に再び人気を取り戻したものだ。自らの特質とそれが呼び起こすノスタルジアを前面に打ち出し、同時に現代に適応してきた。
フィラはモデルのヘイリー・ビーバーとともに新たなコレクションをローンチ、バービーはマーゴット・ロビー主演の映画が大ヒットしたことで人気を取り戻し、多くの世代に語りかけることができるブランドとなった。ポラロイドは、現代のライフスタイルに適合した機動的なフォーマットのおかげで復活し、ラコステやフェンディなどとのコラボレーションを通じて文化的にもより身近なブランドになった。
そして、もうひとつの注目すべきブランドが、GAP(ギャップ)だ。 ここ15年近く、すでに過去の遺産といえるブランドだとみられていたこのブランドは、ファッション関連の話題を投稿するインフルエンサーたちから支持され、SNS上で頻繁にその名を見聞きするようになった。また、人気ブランドDOEN(ドウエン)とのコラボレーションによる新作は、多くがローンチ後すぐに完売する状態となっている。
経営陣の刷新や、クリエイティブの方向性を変えたおかげもあるだろう。それらは、生き残るために不可欠なものだったと考えられる。だが、同社が新たな成功を収めることができたことに関連しているのは、ノスタルジアだ。
ギャップは、多くの子どもたちが成長する過程で、ずっと身近にあったブランドだ。現在は大人になっているその多くの人たちにとって、ギャップは縁が深いブランドだ。そして、スタイルや素材のアップデートと、自らの象徴的なエッセンスを現代のレレバンスと融合させることに成功したブランドでもある。現在はそれによって、多くの人に受け入れられるようになっている。
また、同じような例として挙げられるもうひとつのブランドが、2000年代初めにリップグロスの「ジューシーチューブ」が大人気を博し、最近になって再び注目されているランコムだ。
10代の少女たちの間でカルト的な人気を誇ったこのグロスが発売から25周年を迎えることを記念して、ランコムはその復活にあたってのプロモーションに、(2010年前後の人気ドラマ)『ゴシップガール』で「チャック・バス」を演じた俳優のエド・ウェストウィックと、同時期に活躍していたほか何人かを起用した。狙いは、Y2K(2000年代)のノスタルジアを活用することだ。

