東急不動産グループのライフ&ワークデザインが運営する会員制シェアオフィス「ビジネスエアポート」は、快適なオフィス環境を提供するだけでなく、会員の事業成長のための支援も行っている。
なかでも注力しているのが「共創」の促進だ。その取り組みを広げるためのイベント「共に創るビジネスの未来」が2025年9月26日に開催された。
ただの働く場所ではなく、人との出会いや成長を促す、まるで「パートナー」のようなオフィスーー。そこでは日々、他業界や異業種との交流が活発に行われ、共創によってイノベーションが生まれる。
そのオフィスとは、東急不動産グループのライフ&ワークデザインが運営する会員制シェアオフィス「ビジネスエアポート」だ。働く場所にとらわれない「新しい働き方」が定着しつつある中で、シェアオフィスは都心におけるオフィス選びの新たな選択肢の一つとなっている。その中で、シェアオフィスの先駆けとして独自の価値を打ち出し、単なる場所貸しに留まらない新たな空間づくりに挑んでいるのがビジネスエアポートなのだ。
東急不動産グループとの共創を促進
2013年に開業した「ビジネスエアポート」は、現在東京を中心に大阪、横浜へと広がり、約20拠点を展開している。
専有オフィス・コワーキングスペース・会議室など、さまざまな設備が揃った複合型のワークスペースで、会員がビジネスに専念できるようきめ細かなサポートを提供している。
同シェアオフィスは「自社スタッフによるサービス提供にこだわっている」と、ライフ&ワークデザイン 運営事業本部運営企画部部長の望月美和子は強調する。
「開業当時から有人受付によるホスピタリティを重視し、日頃の細やかなサポートは勿論のこと、会員様と共に考え、さらなる飛躍をサポートすることを意識しています。 人が介在するからこそ、ビジネスエアポートでしか得られない価値を提供できるのではないかという想いがあるからです」
ビジネスエアポートは、会員が得られる新しい体験価値創出のための施策に取り組んでいる。「Work with Office」をコンセプトに掲げ、会員ひとりひとりの課題解決をパートナーの様に支援する“コミュニティマネージャー”を配置。その“パートナー”を介して会員同士がつながり、新たなビジネスが着実に生まれている。
「交流や事業連携は会員間にとどまらず、東急不動産や東急不動産ホールディングスの各部署も加わり会員との交流を深めています。それは会員企業が抱える課題を共に解決することを目的としています」と同社代表取締役の平地稔は言う。
「ビジネスエアポートも東急不動産も、これまで基本的にはアセットに投資し、それを利用者に貸し出すことで対価を得るビジネスを展開してきました。しかし新型コロナを契機に、商業施設やオフィスへのニーズは大きく多様化しました。オフィス事業やシェアオフィス事業においても、従来の枠を超えて会員企業やテナントが抱える課題の解決につながる取り組みを進める必要があると認識しています。そうした新たな試みこそが、ひいては社会課題の解決にも結びつくと考え、挑戦を続けています」
具体的な取り組みとしては、ビジネスエアポート各拠点に常駐するコミュニティマネージャーをはじめとするスタッフによる、会員企業との定期的な面談が挙げられるだろう。コミュニティマネージャーが会員企業の成長を自分ごととして捉え、顕在ニーズを深掘りし、課題解決に向かって伴走するのだ。
「当社のスタッフが、会員の皆様と深くコミュニケーションを取らせていただきます。皆様のニーズを引き出してそれを具体化し、事業へと落とし込む。場合によっては当社と事業連携を進め、お互いに成長ができるよう、全社一丸となって進めています。当社のグループ内のみならず、私たちがお付き合いをしている商業施設の関係者やテナントなどのステークホルダーの皆様も巻き込み、一緒に取り組みます」(平地)
こうした取り組みにより、これまでに会員企業と東急不動産グループ間で10件近くの共創が実現しているという。直近の代表的な事例は、ecbo(エクボ)との事業連携だ。
ecboが運営する「ecbo cloak(エクボクローク)」は、店舗などの空きスペースを活用し、スマホ予約で簡単に荷物を預けることができるサービスだ。訪日外国人の増加によるコインロッカー不足の解消を目指し、日本国内に加え、台湾でもサービスを提供している。
今回の事業連携により、ビジネスエアポートが荷物の預け先に加わった。しかし、サービスのターゲットは観光客だけでない。ビジネスパーソンにも広げ、身軽でスマートな出張、営業活動などのビジネス体験を提供しようという試みだ。4月1日より、ビジネスエアポートの19拠点で同サービスの提供を行っている。
会員限定イベント「共に創るビジネスの未来」が開催
こうした共創をさらに増やしていくために、9月26日、会員限定イベント「共に創るビジネスの未来」がビジネスエアポート渋谷サクラステージ併設のSHIBUYAウェルセンター ワーカーズラウンジで開催された。会員企業のほか、東急不動産の各事業部門の担当者ら10名も参加した。
同イベントではビジネスエアポート会員であるecbo代表取締役社長の工藤慎一と平地によるトークセッションが行われ、両者の共創について紹介した。工藤は、事業連携するに至ったきっかけについて言及。コミュニティマネージャーたちの熱意に触れた。
「私たちは主に代官山店を利用しており、当時の担当者との定期面談の際に『ビジネスエアポートにecbo cloakを導入できないか』と相談したところから、あっという間に実現に至りました。デベロッパーは固くて遅いという勝手なイメージがあったのですが(笑)、実際に協業してみると東急不動産は柔軟性が高く、かつパッションに溢れている人たちがたくさんいらっしゃると強く感じています」
平地も、社内にパッションに溢れた人が多い点に同意した。
「社員一同で新しい取り組みと向き合っていますが、自分たちだけで完結できる範囲は限られているので、さまざまな方の知見をお借りしなければ前進できません。そうした理由から、多様なステークホルダーの皆様と共創していこうという土壌は整っています。新しいことに取り組みたいという気持ちを社員一人一人が強くもっているので、工藤さんとの協業につながったのではないかと思っています」
今回の事例を足がかりに、平地は共創をさらに活性化させる決意を示した。
「メンバーみんなで悩みながら常に新しい価値を生み出せるよう考えており、『アセットのデベロッパー』ではなく、『価値創造ができるデベロッパー』に変わっていきたい。それには皆様との共創が不可欠ですので、これからもさまざまな場所でご一緒させていただきたいです」
一方の工藤は、共創によって事業を発展させ、世界を目指すと力強く宣言した。
「これからどんどん東急不動産との協業を進めて、ecbo cloakをさらに発展させていきます。そして、この次世代の観光サービス、荷物管理サービスを渋谷から世界へ広めていきたいです」
トークセッションの後には、新たに東急不動産グループとの共創を目指す会員企業4社がプレゼンを行った。参加した東急不動産の担当者らからは活発な質問が飛び交い、今後の共創に期待がもてる場となった。
目的をもった人が集まり旅立つ国際空港のように、ビジネスパーソンをつなぐハブとなり、共創のエコシステムを構築するビジネスエアポート。東急不動産グループもそのハブを通じて企業家たちとつながり、これからより多くの共創を実現していくに違いない。
【11/20(木)イベント開催】Special Talk Session&MEET-UP「社会の基盤を変える起業家たちのリアル」
社会を変える事業をどう成立させるか──。ライフ&ワークデザインとグローバルビジネス誌「Forbes JAPAN」が共催で、「日本の起業家ランキング 2025」の受賞者たちの経験をもとに事業スケールアップの生きた知恵とインサイトを直接学ぶことができるイベントが2025年11月20日(火)に開催される。
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ひらち・みのる◎東急不動産 都市事業ユニット都市事業本部 執行役員 本部長、ライフ&ワークデザイン代表取締役。1994年に東急不動産入社。都市事業ユニット・都市事業本部商業事業部統括部長、同事業本部ビル営業部統括部長などを経て2025年4月より現職。
もちづき・みわこ◎ライフ&ワークデザイン 運営事業本部運営企画部部長兼マーケティング本部マーケティング企画部 部長。スポーツ系ベンチャー企業での広告事業などを経て2017年、ライフ&ワークデザイン入社。ブランドのサービス設計やオペレーション構築に携わる。



