キャリア

2025.10.29 16:00

「あと一つだけ」仕事を上手く終わらせられない悪習慣を断ち、生産性を上げる5つのヒント

Shutterstock.com

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ミーティングを終わらせようとしているとき、オフィスを出ようとしているとき、あるいは、一つのプロジェクトが完成しかけているときに、こんな考えが頭に忍びこんできたことはないだろうか?「あと一つだけ、やっておこう」

無害な思考のように思える。それどころか、すこぶる生産性が高いと思うかもしれない。

だが、多くの職業人、とりわけ完璧主義やADHD(注意欠如・多動症)傾向のある人では、この習慣は知らぬ間にエネルギーを吸いとり、ストレスを増加させ、信頼性をむしばむものになる。そうした「おまけの数分間」が雪だるま式に膨らむと、遅刻や燃え尽き(バーンアウト)につながり、自分の時間に(ひいてはほかの人たちの時間に)明確な境界線がない人という印象を与えかねない。

「あと一つだけ」がパターンになるとき

筆者のコーチングを受けた人の一人は、ストレスを管理して不安を受け入れるすべを習得したあとでさえ、ミーティングに毎回遅刻していた。その理由は毎度、あと一つだけメールを書き終えよう、あと一つだけポイントを明確にしよう、あと一つだけスライドを追加しようとしていたせいだった。だって、それくらい別にいいだろう?と。

そのうちに、彼は気づいた――このパターンは、完璧を目指したいという欲求から生まれているのだ。あと一つ何かを追加したり、あと一つ質問をしたりすれば、もっと良くなるはずだと考えていた。心が完璧さにとりつかれ、あと少しだけしたいという欲求にそそのかされていたせいで、別のことに進むべきときだとわかっているときでさえ、やめるのが難しくなっていたのだ。

「あと一つだけ」が起きる理由

1. 隠れた完璧主義

完璧主義者は、重要な何かを見落としたり「完成させずに」残したりするのをおそれる。「途中でやめること」を脳が失敗として扱うため、微調整や研鑽、過剰な説明を続けることになる。そして、皮肉な話だが、そのせいで長い目で見た効率と信頼が低下する。

2. ADHDと過集中

多くの場合、ADHDをもつ人では、脳がタスクとタスクの切り替えに苦労する。ひとたび過集中状態になると、時間切れになっている場合でもやめるのが難しくなる。アラームやリマインダーさえ聞こえない――それを目にした途端、まばたき一つせずにオフにするかもしれない。報酬系は、目新しさと完成を奨励するので、「あと一つだけ」追加すればその瞬間には満足を得られる。しかしそれは、のちに破壊的になってしまうのだ。

3. 生産性に見える「先延ばし」

人によっては、「あと一つだけ」が遅延や先延ばしの戦術になる。決断を下す、ミーティングをしめくくる、沈黙と向きあうといった、自分にとって不快なことを避けながら、生産性の幻想を得られるからだ。

チームとキャリアへの波及効果

こうした「あと一つだけ」の習慣は、時とともに、慢性的な遅刻やバーンアウトにつながりかねない。また、他者の優先事項を重視しない人、という印象を与える可能性もある。

イライラを募らせる同僚、長引くミーティング、あなたの仕上げを待つのにうんざりしているパートナーが目につくようになるかもしれない。献身として始まったものが、たやすく時間管理のまずさや信頼性のなさの表れだと誤解されてしまうのだ。

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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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