経済・社会

2025.10.28 09:45

インパクトスタートアップ協会、目指す「1000の『社会課題解決と経済性の両立』」

インパクトスタートアップ協会代表理事と理事一同。代表理事・米良はるか(写真中央)同・星直人(写真中央右)

インパクトスタートアップ協会代表理事と理事一同。代表理事・米良はるか(写真中央)同・星直人(写真中央右)

「社会課題の解決」と「持続可能な成長」を両立させ、ポジティブな影響を社会にもたらすことを目指すインパクトスタートアップ協会は10月14日、「IMPACT STARTUP SUMMIT 2025」を開催した。「社会課題解決の見本市」をテーマにしたカンファレンスには、高市早苗現首相、岸田文雄元首相、シブサワ・アンド・カンパニーCEO渋澤健らも登壇。参加者が1100人以上と昨年から倍増し、スタートアップ冬の時代と言われるなかでも、インパクトスタートアップへの社会からの関心の高さを感じさせた。

Forbes JAPANも同カンファレンス内で、ミドル・レイターステージを対象にした直近1年の経営のチャレンジをたたえる「IMPACT CHALLENGE OF THE YEAR」を実施。Forbes JAPAN「日本の起業家ランキング」の直近3年間の1位を見ても、24時間365日対応のオンライン診療サービスを運営するファストドクター・菊池亮、水野敬志、新興国向けのマイクロファイナンスを手掛ける五常・アンド・カンパニー・慎泰俊、再生可能エネルギー開発・電力販売を手掛ける自然電力・磯野謙、川戸健司、長谷川雅也といずれもインパクトスタートアップ協会の正会員企業が並ぶなど、スタートアップ業界でも新潮流となりつつある。

現在、大きな注目を集めている「インパクトスタートアップの現在地と未来」について、インパクトスタートアップ協会代表理事の米良はるか、同代表理事の星直人に聞いた。


米良はるか(以下、米良):インパクトスタートアップ協会(ISA)は現在、250社の正会員が所属しています。シード期からミドル期、レイター期、上場後まで各ステージの企業がほぼ均等に所属するという多様性のある独自のコミュニティになっています。女性起業家も多く参画しており、DE&Iという観点からも特徴があるコミュニティです。

2022年の発足時には、「社会性と経済性の両立って、きれいごとだけど、そんなことできないよね」と多くのみなさんが思っている中で、「できる」という小さな声を集めた運動のようなところから始まりました。「そうありたいよね」「自分もそうだったわ」と共感がどんどん集まってきて、今では、社会性と経済性を両立したいという思いを、いかにみんなで社会実装していけるか、という段階になったと思います。社会性と経済性の両立は本当に難しいからこそ、みんなで知恵を出し合って、この動きをいかに拡大していけるかだと思っています。

ISAはこれまで、「共有」「形成」「提言」「発信」の4つを活動の柱に掲げて活動し、政府・行政機関への提言に取り組み、23年に内閣府から発表された「骨太方針」では初めてインパクトスタートアップ支援が採用されました。続く24年6月の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」においても、インパクトスタートアップに対する総合的な支援策が提示されてきました。社会からの関心が高まるなか、組織としての進化を常に意識してやっています。

星直人(以下、星):一言で言えば、ここからが勝負どころだと思います。第一期は23社から始まり、今は250社と10倍以上の規模。ゼロイチの立ち上げ期という意味では、うまく離陸できたと思っています。ただ、ゼロイチが僕らの目標ではなくて、より大きな社会的なインパクトを出していくためには、この後のフェーズが本丸になってくる。このコミュニティの特徴である熱量を維持しながらも、しっかりとしたスケーラビリティが出していけるかが勝負どころで、ここからさらに多くのみなさまに共感を得て、大きなポジティブインパクトを社会全体に出していけるかが問われてくるようになったと思います。

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文=山本智之

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