悩んだんですけれども、やはりトヨタのスポーツに対する関わり方を考え、またアリーナの3つの重点テーマの一番最初にスポーツと入れてあるので、スポーツをやったときに一番見やすくて楽しめる施設として具備しなければいけないものを考えた設計にしています。
そうした優先度合いは、他のクラブやアリーナとはちょっと違うのかなと思います。
──「Official髭男dism」による音楽ライブこけら落とし公演での観客の皆さまの反応は概ね「(アーティストが)近くて、最高」と上々のようでした。手応えは?
音楽ライブの際は、本来ならばステージの後ろ側にお客様を入れることはないんですけれども、ヒゲダンさんの場合にはステージバックサイド席という形で活用されたんです。
アーティストと同じ目線でライブを見られることなんて、なかなかないですよね。お座りいただいた方たちは希少な体験をされたと思いますし、そういった「ならではのステージの作り方」をされたということで評判も上々でした。
──Official髭男dismのこけら落としに関しては、アルバルク東京側からオファーしたそうですね。なぜでしょうか?
デビュー時のストーリー、コロナ禍など色々な困難に直面した時にもそこから次に進んでいこうといった彼らの姿勢が、我々の「可能性にかけていこう」というアリーナのコンセプトに非常に重なり、お声がけしました。
──アリーナとの音楽的な相性やマーケティング分析、林社長がファンだったからなどではなく、コンセプトにこだわったと。
私もほぼ全曲知っていますけどね。
──来年6月には「MUSIC AWARDS JAPAN」が開催されるとのことですし、また色々なチャレンジから、新たな音楽ライブの表現や鑑賞スタイル、ユニークなライブ体験が生まれるかもしれませんね。
特にスイートルームに関しては、特別なホスピタリティのエリアということで音楽ライブではなかなか使っていただけないケースが多いんですけれど、テラススイートでは立ってご覧いただくこともできますし、音楽業界の中にも新しい鑑賞みたいなものを面白いと思ってもらえる方たちが増えてくるといいなと思います。
チャレンジしていただけるアーティストさんがいたらぜひ使っていただきたいです。
「今までになかった多目的次世代アリーナ」をどう作り上げたのか?
──「今までになかった多目的次世代アリーナ」作りを目指してきました。訪れた皆さまからも「楽しい」「快適」「NBAのアリーナみたい」と好評のようです。施設へのニーズやトレンドなどをどのように吸い上げて設計・サービスに取り入れ、作り上げてきましたか?
RFP(提案依頼書)を作って設計コンペを開き、その中で一番面白いコンセプトで出していただいたのが、鹿島建設さんでした。


