青春映画(coming-of-age movies)を観るのに、年齢は関係ない。このジャンルの映画が思い出させてくれるのは、魔法のような若者時代。今よりも責任が少なく、はるかに純粋だった年頃だ。
最高の青春映画は、思わず引き込まれるような本筋(例:主人公がある使命に駆り立てられる)と、優れたバックストーリー(例:主人公が自分に向き合い、受け入れる)を巧みに組み合わせている。すべての素晴らしい作品には、記憶に残る脇役もいる。主人公が自分ひとりでは気づけなかった何かを学ぶのを助けてくれる人物だ。
楽しいか、感動的か、洞察に富むかどうかにかかわらず(3つすべてを兼ね備えるものも多い)、このリストに選ばれた最高の青春映画は、何度観ても飽きることがない。
第1弾では、そんな30作品の中から10作品を紹介する。
(編注:Amazonのプライム・ビデオで配信されている作品は「アマプラ」、Netflixで配信中の作品は「ネトフリ」としてリンクを掲載。両サービスで配信していない作品、また日本からは視聴できない作品は映像関連データベースサービス「IMDb」へのリンクを掲載している)
30. ヴィクター・ヴァルガス(2002年)
青春映画の主人公は例外なく、何かと折り合いをつけようとして葛藤する。本作『ヴィクター・ヴァルガス』(IMDb)の場合、ヴィクター(演じるのはヴィクター・ラサック)は、表面的には女性に恵まれないことに落ち込んでいるが、心の奥底では家族との葛藤を抱えている。ピーター・ソレット監督の本作は、興行的には成功しなかったが、カルト的な人気を博した。
29. ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから(2020年)
『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』(ネトフリ)は、古典『シラノ・ド・ベルジュラック』を現代に蘇らせた、PG-13指定のNetflix配信映画。新型コロナウイルス感染症によるロックダウン中に熱心なファンを獲得した。
周囲に馴染めないアジア系の女子高生エリー(完璧な配役のリーア・ルイス)は、アメフト部員の優しいポール(ダニエル・ディーマー)に頼まれて、アスター(アレクシス・ルミール)へのラブレターを代筆する。エリーも密かにアスターに好意を抱くが、ポールはそのことに気づかない。ポールとエリーが親しくなっていくにつれ、3人の関係はより複雑になっていく。
28. ブルックリン・ストーリー/旅立ちの17才(1992年)
黒人少女を中心に描く青春映画は、嘆かわしいほど少ない。レスリー・ハリス監督によるこの知的で繊細なインディーズ映画で、シャンテル(アリヤン・A・ジョンソン)は、大学に進学して医者になる夢を叶えるため、高校で猛勉強中だ。しかし、ある新しい関係性によって、彼女の将来は急に危うくなる。
本作『ブルックリン・ストーリー/旅立ちの17才』(IMDb)は、権威あるサンダンス映画祭で特別審査員賞を受賞した。
27. ベター・ラック・トゥモロー(Better Luck Tomorrow 2002年:日本では未公開)
『ベター・ラック・トゥモロー(Better Luck Tomorrow)』(IMDb)は、ジャスティン・リン監督の単独監督デビュー作。東アジア系米国人のハイアチーバー(高い目標を設定し、努力することによって飛び抜けて良い成果を達成する人)たちという、ステレオタイプ的なグループを描く。
高校生活を刺激的にしようとした彼らは、小さな悪事に手を染めるが、次第に深刻な犯罪へとエスカレートしていく。出演はパリー・シェン、ジェイソン・トビン、ジョン・チョーなど。



