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2025.10.30 16:00

ベルナール・アルノーにマードック、「大富豪の持株会社」を標的に繁栄する英アクティビストの正体

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ヴァンサン・ボロレは1981年、経営難に陥った家業を、債権銀行から1フランと債務返済の約束で引き継いだ。まさにゼロからのスタートだった。今やフォーブスは、ボロレの家族資産を104億ドル(約1兆5890億円)と評価している。業績はA+だ。では、割安さについてはどうだろう?

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フランス金融市場庁は2025年7月、ボロレSEとヴィヴェンディの関係が密接すぎるため、ボロレSEは(未定の)適正価格で、ヴィヴェンディの全公開株式を買い取るよう命じた。ボロレはこの判決を不服として控訴中だが、この処置だけで、ヴィヴェンディの株価は14%上昇した。

(ダニエル・)ローブとのトラブルは、外部投資家にとっては控えめな勝利に終わった。米国ニューヨークに本拠を置くローブは、追加資金調達のため、ロンドン上場投資信託Third Point Investors(サード・ポイント・インベスターズ)を設立した。サード・ポイントの唯一の資産は、ローブが運営する別の事業体であるオフショア・ファンドの株式だった。このオフショア・ファンドは非公開会社だが、保有株式リストは開示しており、直近では総額76億ドル(約1兆1600億円)に達していた。

市場での支持を失った上場投資信託のサード・ポイントは、純資産価値に対して31%の安値まで下落した。ローブはサード・ポイントを、新たな事業体、つまり自身が設立した再保険会社(もちろんオフショア)と合併することに決めた。この新会社は目立った活動こそないが、投資家向けの提案書によれば、固定金利年金商品の販売で調達した資金を、住宅ローンやジャンク債(債務不履行のリスクが高い分、利回りの高い債券)の市場において高金利で貸し出し、巨額の利益を生み出すという壮大な計画がある。

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当初の提案通りであれば、サード・ポイントの投資家は保有株の一部を現金化できるが、残りについては保険事業の新株取得を義務付けられることになる。

サード・ポイントの株式を保有するAVIは、激しく抗議した。投資信託から保険会社への転換はあまりに急激なため、株主には、資産価値での全額現金化を選択する権利があるとAVIは主張し、株主たちに対して合併反対票を投じるよう呼びかけた。

AVIは投票で敗れたが、ローブからの現金分配を81%増額させることに成功した(ローブの関係者は、独立した取締役会がこの取引を承認したと述べている)。

AVIグローバル・トラストは、9つのクローズドエンド型ファンドに出資している。これらの投資信託はサード・ポイント同様、純資産価値を下回る価格で取引されており、清算に追い込まれれば即座に利益を生む。しかし、AVIグローバル自体も割安価格で取引されているクローズドエンド型ファンドだ。ニューヨークのあるヘッジファンドは2001年、AVIの株式の16%を取得し、取締役会の席を要求した。内部関係者は株主投票で辛うじて勝利したが、強制清算の脅威はその後も消えなかった。

AVIグローバルは、定期的に自社株を買い戻している。株主の支持を維持するため、そして、(AVIを解任し、新たなポートフォリオマネージャーを雇う権限を持つ)独立取締役会との良好な関係を保つためだ。これにより、直近では7%の割安率を維持している。この自己犠牲的な自社株買いは、AVIが年率0.7%の手数料を得る資産基盤を縮小させるが、より深刻な結果のリスクを軽減する。

バウエルンフロイントは敬意を示しながら、こう語る。「株主がAVIに満足している限り、取締役会はおそらく運営契約を更新し続けたいと思うだろう」

餌食になるのがいかに簡単か、捕食者ほど知っている者はいないのだ。

forbes.com 原文

翻訳=米井香織/ガリレオ

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