だからといって、道のりが平坦というわけではない。市場は変動し、投資家の感情はさらに激しく揺れ動く。短期的には、損失を恐れたパニック売りや衝動買いに走り、自滅することもある。しかし真の勝負は、長期戦だ。利益は「日単位」ではなく「10年単位」で測るものだと理解していれば、最大の心理的優位性――「時間」を味方につけられる。
「感情」が自滅をまねく
もし投資が単なる数学の問題なら、すべての理性的な投資家が、運用コストの低いインデックスファンドをひたすら長期間保有しているはずだ。しかし現実はそうはいかない。多くの投資家は話題の銘柄を追いかけ、下落局面ではパニック売りをし、過剰な売買を繰り返しては、平凡な結果に終わってしまう。
心理的には、損失のダメージは利益の喜びの2倍の重さでのしかかってくるという。そのため「損失回避」の心理が働き、多くの投資家を最悪のタイミングで長期戦から撤退させてしまう。また、市場を読み切れると過信する者もいれば、投資を資産形成の手段ではなくギャンブルのように扱ってしまう者もいる。投資における優位性とは、単に確率を知ることではない。みずからの「感情」をコントロールすることこそが、優位性をもたらす。
誰もが勝者になれるゲーム
株式市場は、誰もが勝者となりえる数少ないゲームの場だ。ポーカーやブラックジャックのように、誰かの利益が誰かの損失になるゲームとは異なり、株式市場では全体のパイが成長していく。そしてプレイヤー(株主)全員に配当金が支払われ、企業は再投資を行い、さらに利益を拡大していく。
だからこそ投資はギャンブルではなく、「みんなで協力して富を生み出すゲーム」として捉えるべきだ。人生においても同じことが言える。もっともやりがいのあるゲームとは、誰かの利益を奪うものではなく、投資家や起業家、家族など、複数のプレイヤーが共に勝ち、共に成長できるものだ。
優れた投資家は、優れたリーダーと同様に、利益を搾取するのではなく、生み出すことに注力する。彼らは、ゲームは長期戦で、勝率は高く、忍耐と自制心が利益を増幅させていくことを知っている。
まとめ
「投資で勝つための心理学」は、単に賢いゲームプレイヤーになるための知識ではない。それは、自分がどのようなゲームをしているのか、どれくらい長さなのかを理解し、時間の経過とともに有利になる確率に合わせた行動をとるための知識だ。
投資においても人生においても、真の勝者とは「みんなが一緒に勝てるゲームこそ、価値がある」ことを理解している者である。


