生物に名前をつけ、定義し、種類に応じて分ける分類学は、生物学に欠かすことのできない学問だ。18世紀の生物学者カール・フォン・リンネが提唱した「学名」のシステム(リンネ体系)は、種を識別するための標準体系を提供し、科学者たちが言語や学問分野の垣根を超えて意思疎通を図ることを助けている。
しかし、一般的に使われる「通称(common names)」には、その種の生態や行動、地域の言語、さらにはポップカルチャーなどがしばしば反映される。かしこまった印象を与えないこともあり、時にはひどく滑稽に聞こえるものもある。
現在、公式な名前が与えられた生物は100万種を超え、名前がついていない未記載種も何百万と存在する。生物の名前は、いかにも奇妙なものから、好奇心をそそられるものまで、実にさまざまだ。特異な生態に由来する名を持つ生物もいれば、フィールドワーク中にカフェインを取りすぎた生物学者が「何か面白いことを」と考えた結果、変わった名前がつけられた生物もいる。
そこで今回は、「最もおかしな名前の生物トップ10」を紹介しよう。筆者の独断ではあるが、生物学に基づいて選んだものだ。選出にあたっては、進化の観点から見て驚くほど洞察的な名前や、誤解を与えかねない名前といった点を考慮した。
1. スパークル・マフィン(学名:Maratus jactatus)
子どもの誕生日パーティーに出てきそうなデザートの名前かと思いきや、実は、進化における性淘汰の驚異を体現した命名だ。
スパークル・マフィン(Sparklemuffin)は、オーストラリアに生息する小さなピーコック・スパイダー(孔雀グモ)で、オスはメスに求愛するとき、色鮮やかな腹部を動かして、複雑な動きのダンスを繰り広げる。「スパークル・マフィン(Sparklemuffin:きらきら光るマフィン)」は、このクモを発見した研究チームの1人が、1人の学部生につけさせた愛称だ(胴体中央部に見られる青と赤のストライプが、カラフルなマフィンに似ている、というのが理由)。
確かに「科学的な厳密さ」は感じられないが、生物学的に重要な特徴をうまくとらえている。クモなどの一部の種は、華麗な見た目や動きで目を引く方が繁殖に成功する確率が高い。自然が報いるのは、「最強のもの」とは限らない。最も華やかなものこそが勝利を収める場合がある。



