働き方

2025.11.04 10:15

合意形成は「密室」が早い。大勢参加の会議がムダな理由

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加えて言えば、対面の会議だと、表情・態度など発言以外にも読み取れる情報で場をうまく取り繕うことが可能ですが、オンラインで話を聞いているその他大勢はカメラもマイクもオフにしているため、誰が何を考えているかわからない状態で話さなければいけません。

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その恐怖感が、ヤマダさんを一層リスクヘッジに向かわせます。

合意形成は密室のほうが早い

オンライン会議の技術進歩により、会議への出席ハードルは大幅に下がりました。遠隔地でも気軽にコミュニケーションができるというメリットもあります。

ただ、その弊害として、その他大勢がいる会議の場では、合意形成が遅くなるシーンをたびたび見かけるようになりました。

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一般に「密室」での会議は嫌われるのですが、こと揉めそうな案件に関しては、参加者の数は必要最小限に絞って(つまり、ある程度密室にして)、そこで落としどころを検討するほうが得策です。

利害関係者との合意形成が必要な会議においては、ひと言もしゃべらない人の参加は不要であり、むしろ阻害要因になるからです。

とは言え、議論するにあたって、あなた自身がその案件の情報をあまり知らないと、何かまったく知らない情報が出てきたときに対応しづらい、という事情もあります。

そのため、キーとなる各参加者が、それぞれにもう1人ずつ「参謀役」を参加させるぐらいは問題ないでしょう。

しかし、3人も4人も引き連れて会議に出席するのは、合意形成を遅らせるだけですからオススメできません。

もし、相手方が5人も10人も引き連れて会議に出てきて、各参加者が「立場」でしか話をしていないようなら、その会議での合意形成はきっぱりとあきらめてしまいましょう。

別途、「あの件さ、ちょっと個別で話したいんだけど」などと相手側のキーパーソンに連絡を取り、密室での相談に持ち込むのがオススメです。

実際に昔は、タバコ部屋という密室でいろいろな物ごとが決まっていたものです。

日本の外交でも、「実はあのとき、水面下でこんな交渉をしていました」という後日談が出てくることがあります。落としどころを決めるには密室が適しているというのは、多分、日本政府も認める手法なのではないでしょうか。  

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文=上妻周太郎/業務改善コンサルタント

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